大事業を推進したいならば首長が前面に立つべきです。
(南足柄市・開成町 企業誘致連携 タウンニュース足柄版 5月28日号)
地方創生の目標の一つは企業誘致による地域活性化、雇用の場の確保です。低成長時代において企業誘致を成功させることは言うは易く行うは難しの典型です。
私が町長時代、開成町は、富士フイルムの先進研究所を誘致しました。2006年4月創業でした。時代の流れが研究開発投資にあると読み切ったのが功を奏しました。
日本を代表する先端化学企業の富士フイルムは、お隣の南足柄市に本社工場があり、当時デジタル化の荒波に直面していました。大胆な転換が必至でした。
このタイミングを捉えて会社のトップに直談判しました。様々な条件が出されました。特にスピードを要請されました。許認可に時間がかかり過ぎるというのです。
権限は神奈川県にありました。松沢知事に直談判しました。決定権限を持っている者同士が話し合わないと時間ばかりかかり進展はしません。
一気に方向性が煮詰まりました。こうなると今度は事務当局の出番です。特に地権者との交渉を迅速果敢に進めなければならないのが大きな問題です。
開成町のスタッフが獅子奮迅の活躍をしました。現在開成町の副町長が当時のリーダーでチームはお役所仕事とは真逆のモーレツな仕事ぶりでした。
先日、配布されたタウン紙に南足柄市と開成町で共同で企業誘致をする協議会が発足したとの記事が大きく掲載されていました。南足柄市長の肝入りだとのことです。
両市町の連携は大歓迎です。しかし、協議会の構成メンバーに見て私は首を傾げました。150ヘクタールの巨大開発なのに両市町のトップの名前がありません。
これではどんなに優秀な学識経験者や行政実務者がいても前進は容易ではありません。決定するのはトップですので協議会では決めることが出来ません。
南足柄市長の音頭取りで始める以上、南足柄市長が協議会のトップに座るべきです。開成町長がサブに就任する布陣でなければなりません。
トップ二人がビシバシ指示を出して初めて協議会は機能を発揮することが出来ます。南足柄市長の下に協議会が一本になることで県や国を動かす原動力となります。
平凡な案が並べられても意味がありませんし、机上の空論が提案されても対処のしようがありません。夢があって実現性もある案をまとめるという難事業です。
記事によれば「未病産業」の誘致を図るとの方向性を評価していました。黒岩県知事が提唱している「未病」の取り組みとリンクしようということだと推測します。
具体の議論になっているのか懸念します。根拠のない願望に基づいて議論が進むのは危険です。呼び込む産業、出来れば企業の照準を絞りトップの直談判が欲しいです。
また先行して地場の農産物を販売する「道の駅」を造ることが事業促進につながるとも書かれていました。道の駅と企業誘致がどこでつながるのか、不明です。
いずれにしても財政難の時代に巨額な補助金を当て込んで進める訳ですので正々堂々と両市町の首長が前面に出て責任を明確にして進めるべき大事業です。