沖縄と二宮金次郎4

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沖縄で二宮金次郎像がすんなり受け入れられている訳ではありません。金次郎像を撤去した小学校もあります。撤去の理由を伺いたいと思いましたがかないませんでした。

戦前、国家が二宮金次郎の生涯を困難に耐え頑張るイメージを誇張して国民に植え付けようとした歴史に対し拒否感があるのだろうと想像します。

しかしこうした二宮金次郎に対するイメージは実像とかけ離れています。道徳的に優れた側面は一面に過ぎません。農民の自立を促し農村復興に尽くした実践家でした。

二宮金次郎像に反感を持つ方と直接会って、本当の二宮金次郎、二宮尊徳の実像を伝え誤解を解きたいと思いましたがその機会を持てなかったのは残念でした。

沖縄に到着した最初の晩、事前の調査を仕切って下さった方を招いて懇親会を開催しました。普天間基地の辺野古への移転の話が話題になりました。

私が今回の調査の中で辺野古の現場を見たいとお願いした時、場の雰囲気が微妙に変わりました。沖縄の抱えている痛みを理解しようとしているという安堵の空気が流れました。

歩んできた歴史が違い沖縄は常に虐げられる立場でした。そして現在は在日アメリカ軍の専用基地の四分の三近くを押し付けられているという感情は底流にあります。

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この感情を理解し痛みを分かち合う姿勢でないと本音の話はできないと思いました。31日に新たな基地が建設されようとしている辺野古の海を案内してもらいました。

1日伊是名島に渡るフェリーの発着所の売店で地元紙の琉球新報を買いました。沖縄県に関係する国庫予算の概算要求について詳しく解説されていました。

辺野古基地建設を巡って政府と沖縄県が激しく対立しているため沖縄関連予算に影響が出るのかが注目されています。概算要求の総額は4.2パーセント減の3210億円です。

振興のための一括交付金が17パーセント減額と大きく報じられてました。私は見方が違います。巨額な国庫予算の総額の方に目が行ってしまいます。

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今回の調査で沖縄を回ってみて観光振興への基盤整備が着々と進んでいると実感しました。今帰仁村の離島の古宇利島へと向かう橋はその展開的事業です。

沖縄県の個々の自治体の財政力は乏しいです。自前の財源では財政運営はできません。それを補ってきたのが巨額な沖縄関係の巨額な振興予算でした。

在日米軍基地の負担に対する見返りの側面が強く膨らんできたのが実情です。琉球新報にも執行率の低さに対する識者の解説が掲載されていました。

使い切れない予算が計上され注ぎ込まれていると言えます。これでは沖縄の地方自治体の自立は望めません。空からおカネが降って来るようなものだからです。

このような関係を続けることは日本の国家予算にも悪影響が出ますし沖縄の地域からの自立への意欲を削ぐことになります。見直しの時期に来ています。

二宮尊徳の報徳仕法は、長期の計画に基づき財政規律を取り戻し余剰金を効果的に投資する戦略です。沖縄の今後の行財政運営に貴重なヒントをもたらすと確信しました。