最先端測量から始まるまちづくり・国づくり1

測量分野の技術革新は目覚ましいです。レーザによる計測技術の発展が原動力です。三次元の情報を持つ点の集合体を得ることが出来るようになりました。

専門用語では「点群情報」と呼びます。コンピューターで画像処理します。縦、横、垂直方向の三次元情報ですので立体的に様々に加工することが出来ます。

(リーグルジャパンHPより)

計測機器はどんどん小型化し高性能になってきています。地上で計測するだけでなく航空機にとりつけることも、流行りのドローンに搭載させることも可能となりました。

昨年11月に北海道の釧路で開かれた日本写真測量学会で山城の遺構を空からの三次元レーザ計測で発見できたとアジア航測という測量会社が発表していました。

発表の後、中日本航空という航空機測量を手掛けている会社の方が学術研究であるのならば別業務の飛行ルートの途中に計測することも可能だとアドバイスされました。

私は法政大学の国際日本学研究所の客員所員をしています。所長の小口雅史教授が古代・中世の考古学の第一人者です。小口教授が手掛けている調査を知りました。

青森県外が浜町にある山本遺跡です。平安時代末期に存在したと見られる集落の後です。周囲に堀がめぐらされていて「防御性集落」と言われます。

部分的には地上で発掘調査をしています。山林で樹木に覆われていますので全体像が判りません。空から三次元レーザ計測をしたらどうなるかトライしました。

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小口教授と弘前大学の研究チームと連携し中日本航空、青森県の協力により航空機レーザ計測が今年の6月に実現しました。鮮明な遺跡の画像を得ることが出来ました。

小口教授は10月の日本考古学会で発表しました。関係者一同どよめいたということです。樹木をはぎ取った山の地肌から三重の堀が現れたからです。

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私は、計測に関わった中日本航空の社員と一緒に今月11日の日本写真測量学会でこの成果をまちづくりへの応用の観点から発表しました。

今回得られたのは、「防御性集落」の全体像の把握という学術レベルでの成果です。しかし一般の関心をより強く引くような遺跡の発見への可能性も広がります。

特に東北地方や北海道は歴史史料が少ないです。中央政権によって滅ぼされた歴史がありますので敗者の記録は残されません。地中や海底に埋まっています。

太鼓謨な発掘は多額に費用がかかり容易には踏み切れません。しかし三次元レーザ計測ならばそこまで費用はかかりませんので財政負担は軽くて済みます。

その結果常識を覆すような成果が得られればそれ自体が町興しです。三次元のデータを加工して往時の姿をコンピューター上で再現することもできます。

まともに建物を復元することなしに歴史を再現することが出来る訳です。温故知新のまちづくりへとつながります。成果が画期的ならば観光資源ともなります。

歴史文化遺産の再発見により国際観光とつなげ経済を盛んにさせることは人口減少の日本にとって重要な視点です。温故知新の国づくりと言っても良いです。