最先端測量から始まるまちづくり・国づくり2

せっかくの優れた技術も応用しませんと宝の持ち腐れになります。三次元のレーザ計測技術は応用範囲が極めて大きいですので活用することが大切です。

学会に参加していると理系の専門研究者や技術者は、いかに計測精度を高めるかに関心が集中します。応用は二の次になってしまいがちです。

(ドローンによる三次元レーザ計測 中日本航空HPより)

写真測量という聞いただけでは旧態然としているイメージの分野の技術革新がいかに目覚ましいかを学会としてもっと積極的にアピールして行くべきです。

9月26日放送のNHKのクローズアップ現代プラスで熊本城の城壁はなぜ崩れたかを詳細に検討していました。威力を発揮したのは三次元レーザ計測でした。

城壁の微妙なふくらみを計測し三次元で可視化させる技術が番組を成り立たせていました。石垣の内部の砂がゆすられて噴き出してきたと推測していました。

こうした技術は甚大な被害を受けた文化財の調査にのみ使うのはもったないです。ドローンを使って上空からも詳細にレーザ計測し城の状況を公表したらどうかと思います。

これからの城の復旧の過程を随時三次元の映像として公開することで訪れた観光客はもちろんのこと一般の関心をつなぎとめることになります。

文化財は文化庁が取り仕切るという縦割りの壁を越えて復旧過程を見せることはちょっとした観光資源になるという発想を持つことが必要です。

今年の日本写真測量学会では測量会社のアジア航測が透明度の高い場所なら池や海の底の地形も空からの三次元レーザ計測が出来ることを発表していました。

海底や湖底に眠る遺跡の発掘に威力を発揮するのではないかと期待感を持ちました。考古学者によれば東北や北海道にはそうした地域が多いということです。

アイヌが支配していた地域ですので古文書がありません。遺跡の発掘で証明して行くしかありません。まずは空からの探査で常識を覆すような発見を期待したいです。

政府が古民家を活用して観光振興に役立てる地方自治体の施策を支援すると菅官房長官が発表していました。この分野にも三次元レーザ計測を応用できます。

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(開成町の古民家 瀬戸屋敷)

空からも含めて古民家を三次元レーザ計測できれば古民家を迫力ある映像で紹介することが可能となります。どんな角度からも自由自在に眺める眺めることができます。

古い街並み一帯を保存して観光に役立てている地域も同様です。地域の紹介に三次元のレーザ計測技術を大いに活用して発信に努めれば効果があると思います。

政府が古民家再生による地域活性化を支援するというニュースを耳にしてようやく温故知新の国づくりが本格的に動き出したと思いました。

守るためには大いに活用しなければなりません。飾り物にしては廃れてしまいます。活用するためには三次元レーザ計測と言った最先端技術による発信が必要です。

まちを興してこそ国が創れます。日本全国各地の失ってはならない景観を大いに活用することで遺して行くことが必要です。三次元のレーザ計測が貢献できます。