谷川俊太郎・文 和田誠・絵 ともだち
早めに帰宅して時間がある時は、2歳10か月を過ぎたばかりの孫に絵本を読んであげるのが日課です。素晴らしい絵本の力にすっかり魅了されてます。
深く深く考えさせられる作品を紹介します。著名な詩人の谷川俊太郎さんが文を書き、これまた著名なイラストレーターの和田誠さんが絵を描いてます。
『ともだち』というタイトルです。孫がこれ読んでと持ってきて初めてこの作品を知りました。読んであげているうちに自然と心がこもった声になります。
孫にしっかりこの絵本が伝えようとしている中身を理解して欲しいと願うからだと思います。先生方も大人たちもみんな読めば同じ気持ちになると思います。
最初の書き出しはこうです。「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと。」普通は「うつさないで。」と言ってしまいますね。
こんな言い回しもあります。「ともだちって みんなが いっちゃったあとも まってくれるひと。」待っていてくれる人がいることはうれしいですよね。
続いてともだちならどんな行動をしたら良いか易しく語ります。「ともだちなら びょうきのときは おみまいにいこう。」相手がつらい時は励ます人になりたいです。
「ともだちなら かりたものは きちんと かえそう。」「ともだちなら いやがることを するのは よそう。」親しくても礼儀やルールがあります。
「ひとりでは できないことも ともだちと ちからを あわせれば できる。」友達がいることで一た足す一はニ以上の大きな力になって行きます。
「なかまはずれに されたら どんなきもちかな。」「しっぱいを わらわれたら どんなきもちかな。」「ないしょばなしを されたら どんなきもちかな。」
ともだちなら相手の気持ちを思いやる人になりたいですね。小さないじめの種を取り除くのはお互い友達って感覚を持つことが一番大切だと言っていると思いました。
「なかなおりするには かんかするのと おなじくらいの ゆうきが いる。 だけど わるかったと おもったら『ごめんねん。』と あやまろう。」
「ことばが つうじなくても ともだちは ともだち。」「どうしたら このこの てだすけが できるだろう。あったことが なくてもこのこは ともだち。」
最後の結びは「だれだって ひとりぼっちでは いきてゆけない。」「ともだちって すばらしい。」でした。更に一番後ろに谷川俊太郎さんの詩が載ってました。
「ともだちと てをつないで ゆうやけを みた ふたりっきりで うちゅうにうかんでるー そんな きがした ともだちと けんかして うちへ かえった こころの なかが どろで いっぱいー そんなきがした ともだちも おんなじ きもちかな」
谷川さんのつづっている文章を読むと言葉が持つ訴える力の強さに圧倒されます。しかし言葉だけが機関銃のように連射されると耐えきれません。
言葉の持つ強さを優しく包むような仕掛けが欲しいです。それが絵画です。絵画の持つぬくもりにホッとします。絵本は何て素晴らしいんだろうと思えてなりません。