躍動する町、静岡県小山町に学ぶ。
神奈川県西部を流れる神奈川県が管理する酒匂川は上流部の静岡県に入る地点から名前を変えて鮎沢川となります。流域が二つの県にまたがっています。
上流部に位置する静岡県小山町が躍動しています。込山正秀町長が先頭に立ち政府が推進している地域活性化関連の事業を思い切って導入して活性化の起爆剤にしています。
「内陸フロンティア構想」と言って300ヘクタールにも及ぶ開発構想です。単なる企業誘致だけでなく農業再生や新エネルギー活用と組み合わせた新たな開発です。
小山町の財政力では対応できませんので国と静岡県の全面バックアップを得ています。込山町長のトップ交渉によって事業の推進が図られました。
小さな町にとっては将来を決めるイチかバチかの決断です。産業が沿岸に集積していた形態を内陸に移して行く政府の政策転換をいち早く取り入れた格好です。
町長が足しげく東京に通い得た情報に基づいて実現に向けて動き出したのだと思います。トップが自ら動き自ら決断し歯車を回したことになります。
小山町がこのような大胆な行動をとるきっかけとなったのは2010年9月8日の台風9号による集中豪雨です。激甚災害に指定されるほどの激しい雨でした。
時間雨量118ミリ、1日に490ミリという豪雨が降り注ぎ、山林は各地で土砂崩れが発生しました。酒匂川上流の鮎沢川流域の河川に土砂を含んだ濁流が流れ込みました。
土砂の中にはスコリアと呼ばれる300年前の富士山の噴火の際に堆積した黒い砂が大量に含まれていました。軽いので下流部まで流れ込みでボタ山状態になりました。
しかし特筆すべきことがあります。これだけの集中豪雨であったにも関わらず人的被害がありませんでした。早期の避難の呼びかけが一因だと言われています。
陣頭指揮にあたったのは元陸上自衛隊のレーダー解析の専門家でした。危機監理官というポストを創設し外部の専門知識と体験のある人材を登用していたのです。
現込山町長の前の時代の功績です。この外部人材の積極登用の伝統は更に強化されています。小山町役場の農林課を訪れる機会がありました。
課長は元民間会社の土木コンサルタントでした。課長を支える専門スタッフは一人は国の林野庁から、もう一人は静岡県庁からの出向者でした。
課長も助さん格さんも全部外部からの人材登用にはさすがに驚きました。大災害からの復興には有数な人材が必要にして不可欠という町長の判断でした。
実際に説明を受けて見るとその優秀さはすぐに判ります。専門知識を持っていて現場の状況を熟知していますので説明の説得力が違います。
こうした優秀な人材の下に小山町役場の若手人材を配置すれば役場職員のレベルアップは間違いありません。込山町長の英断に感服しました。
人材育成と事業の遂行、財源の保障を全て配慮しての積極的な行政展開です。大災害で瀬戸際まで追い込まれた状況からの反転攻勢です。
小山町の積極果敢な姿勢に学ぶべきです。隣接する足柄上地域の5町は小山町との連携を強化してその町づくりのダイナミックスさを肌で感じる必要があります。