首長と地方公務員への亀井静香氏の直言

先月28日、現役最長老の代議士亀井静香氏を招いてパネルディスカッションを行いました。亀井氏の基調講演の内容がテープ起こしされて届きました。

主催者の「自主・平和・民主のための広範な国民連合」の機関誌「日本の進路」の新年号に掲載したいので目を通して欲しいと依頼されました。

改めて講演内容を熟読して見ると傾聴に値する骨太の指摘がちりばめられていることに驚きます。単に吼えているのではなく実績に裏打ちされた迫力が伝わります。

主催団体は、日教組の委員長や総評の議長を務めた故・槙枝元文氏が呼び掛けて立ち上げたものです。日教組や地方公務員の労働組合である自治労出身者も多く参加しています。

亀井氏は、自治労と日教組の関係者にとって耳の痛い話から切り出しました。「私の田舎では地方の公務員や学校の先生は上流階級です。」

亀井氏の発言は、恵まれた立場にいて本当に国民の希望や願いを根っこから吸い上げていけるのかという問いかけです。主催者にはずしりと響く言葉だと思いました。

亀井氏がこうした発言をする背景があります。亀井氏は地域活性化を目指し50人を超える超党派の国会銀を集め『根っこの会」を昨年3月結成しました。

亀井氏は中央省庁を説き伏せて高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで地域の特産品を販売できるようにし全国の地方自治体に提案を募集するなどしました。

こうした活動を通じて地方自治体の関係者と接する中で地方自治体側の積極性に疑問を持つようになりました。挑戦する気概が乏しいと思うようになりました。

政府が音頭取りをして地方創生を叫び各種の基金が創設されてます。資金はそれなりに用意されてます。根っこの会はさらに上乗せしようとしました。

地方自治体側の熱い思いさえあれば積極的な反応が返ってくるはずだという期待がありました。しかし実態は違いました。今一つ地方側の熱意が伝わってきません。

亀井氏は「地方自治体の職員はおなかがいっぱいだからあえて動こうとしない。」と言っています。地方自治体の職員が恵まれた立場にあるのが一因だと見ています。

職員に熱意がないなら首長が職員を喚起すれば良いのですが首長も職員の動きに同調していた方が楽です。結果として待ちの姿勢の行政となります。

亀井氏は国会議員の側にも懸念を持っています。地方の現場に自ら飛び込み中央省庁とやり取りし政策を実現する能力が身についていないというのです。

特に民進党の若手議員を心配しています。学歴は抜群で留学経験があっても選挙区の地方自治体と太いパイプを結べないようでは地域に根付いた政策は立案できません。

地方自治体の側に地域の声を吸い上げようという情熱が乏しく国会議員の側もその能力がないとなれば地域にとって踏んだり蹴ったりの状態になってしまいます。

もちろん精魂傾けて地域のために奮闘している首長や職員は大勢います。しかし総じてぬるま湯にあるのではないかとの亀井氏の直言は心しなければなりません。