富士山噴火という最悪の事態に備えた酒匂川水系の土砂対策が必要。

富士山赤色立体地図

(富士山火口 赤色立体地図 アジア航測千葉達朗氏提供)

19日、小田原にある神奈川県の出先機関の県西地域県政総合センターで「酒匂川総合土砂管理プラン」について講演会がありました。

平日の午前中にも関わらず会場はいっぱいでした。当初の定員が40人で申込者が多く大きな会議室に会場を移したと聞きました。関心が高いことを示してます。

主催は、酒匂川水系の保全活動を進めている官民連携の組織の「酒匂川水系保全協議会」です。1960年に創設された伝統のある団体です。

会長は小田原市長で神奈川県や静岡県、関係する市町、企業や漁業関係者85団体が会員となっています。残念ながら、当日は、首長や県幹部の姿は見えませんでした。

講師は、「酒匂川総合土砂管理プラン」の策定に関わった早稲田大学理工学術院の教授でした。土砂管理の第二段階に向けての取り組みがテーマでした。

酒匂川に関心のある小田原市や足柄地域の住民と一緒に「富士山と酒匂川流域 噴火と減災を考える会」を立ち上げ勉強をしているところなので参加しました。

講師の方は環境と防災は物事の裏と表の関係にあると強調されてました。ただ、講演では防災対策の現状と課題について具体的にはほとんど触れませんでした。

3年前に神奈川県が策定した「酒匂川総合土砂管理プラン」の冊子に基づいて酒匂川の健康診断と言えるモニタリングなどについて説明が続きました。

2010年9月8日に静岡県小山町や神奈川県山北町に台風に伴う集中豪雨があり両町を中心に酒匂川流域に大きな被害をもたらしました。

「土砂管理プラン」においても5頁に渡り被害状況が記述されてます。伺いたかったのはその後、このプランで酒匂川水系は守れるのかでした。

流出した土砂が富士山の1707年の宝永噴火によるスコリアと呼ばれる砂で処理が難しい性質を持っていることにも言及はありませんでした。

どのような危機感を持ち対策を建てたのか疑問に思い講演終了後質問しました。まず酒匂川総合土砂管理プランと命名されている以上静岡県との協議は十分かという点です。

回答は十分に協議されているはずだということでした。県同士の行政の話なので直接の関わりはないようでした。両県の連携は要だけに疑問が残りました。

もう一つ質問しました。環境と防災は裏表の関係にあるというのならば危険性が指摘されている富士山噴火対応は念頭に入れているかということです。

これに対する回答は明快でした。富士山噴火対応までは考えていないということでした。もっと議論を深めたかったのですが時間がありませんでした。

講演者が言われるようにもはや酒匂川水系の問題を環境問題としてだけ捉えることはできません。防災も含めて総合的に有効な対策を立てる必要があります。

現状の土砂対策プランに加え富士山が噴火し酒匂川水系に大量の土砂が流れ込んだ場合という最悪の事態も想定し対応を考える必要があると思えてなりません。

大きな課題です。関係する首長が一致して両県の知事を動かし国へと強力に働きかけをしないと時間ばかりが経過して万が一の時に慌てふためくことになります。