日本と日本人の生きざまが問われる時代。

アメリカのトランプ次期大統領がツイッターでトヨタのメキシコでの新工場建設にいちゃもんを付けてきました。アメリカ人労働者の雇用を奪うという理屈です。

大統領選挙戦中からの主張を具現化するため乱暴なやり方で発信したということです。脅し、恫喝戦法の手段としてSNSを巧みに使ったということです。

従わないならばトヨタの車に高率の関税を課すぞと最高権力者が直接脅しをかけるのですから影響がないはずはありません。トヨタと自動車業界に難問襲来です。

トランプ次期大統領の選挙戦に勝利したやり口から推測すると言葉の粗暴さとは裏腹に周到な計算に基づいての発信ではないかと思います。

大統領の座に座る人物として常識的にあり得ないやり口です。道義も品格もこれまでの政策の継続性も無縁です。それでも国内的な支持は高まると見ていると思います。

勝算もあると踏んでいるはずです。日本人の行動パターンに対する冷徹な読みが背景にあるのではないでしょうか。脅せば容易に屈するという国民性です。

相手が弱いと居丈高になり相手が強固だと突如としてへりくだる気質のことです。外交でいえば欧米に媚びへつらい、アジアをさげすむ傾向となります。

脅せばどんどん妥協してきます。その内に脅さなくても先にお土産を差し出すようになりかねません。悲しい性を何とか脱却しなくては先が思いやられます。

横浜市立大学名誉教授の『対米従属の原点 ペリーの白旗』花伝社2015年を読みました。史料を丹念に読み込んだ説得力のある力作です。

1853年6月(旧暦)のペリーの浦賀来航の際ペリーは大統領親書とは別に白旗二枚と旗の意味を記した文書を幕府側に渡したかどうかを検証しています。

十数年来論争が続いています。矢吹氏は事実と断定しています。アメリカ側の要求に応ぜず戦争になった場合、白旗を掲げれば攻撃を止めるとのメッセージだということです。

戦前においては白旗で恫喝という話は島崎藤村の『夜明け前』で紹介されているように常識化していたということですが戦後いつの間にか忘れ去られました。

矢吹氏はペリーの白旗は日本のアメリカへの従属の原点だとしています。幕末日本の国際政治への本格的デビュー戦は、強者の脅しに屈して妥協したことになります。

矢吹氏の著書を読み現代にもそっくりそのまま継続されている日本および日本人の特質ではないかと思いました。この根性ではやられっ放しになります。

アメリカの国益だけを強引に押し付けてくるトランプ新大統領の登場で日本の強いものに媚び、脅しに弱い体質は試練の時を迎えることは確実です。

日本および日本人の生きざまが問われているという自覚が必要です。日本および日本人の悪しき体質を克服しない限り日本国は存続の危機を迎えることは明らかです。

アメリカに尻尾を振るだけが外交のような安直な姿勢を根本から改め堂々と日本と日本人の生きざまを見せつけられるかどうか試練の時です。

 

 

 

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