カジノとヨコハマ
正式の名称は、長いです。「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法」。カジノを中心にホテルや映画館などのレジャー施設を集中立地しようというものです。
昨年末ぎりぎりに成立した法によりますと推進本部長は総理大臣となってます。国を挙げてカジノに景気浮揚を賭けようとばくちに打って出たと言えそうです。
連立与党の公明党では山口委員長を始め幹部が反対しました。日本維新の会は賛成しました。自民党は、案件によって組む相手を変える手口を取り出しました。
カジノ法に賭けた安倍政権のばくちが吉と出るか凶と出るかは今年の世論の動向にかかっています。横浜市長選挙が試金石になることは間違いありません。
横浜市の林市長はカジノを含む統合型のリゾート施設整備を経済振興の有力な手段と発言しています。横浜商工会議所の上野孝会頭も基本的に賛同の考え方を表明してます。
両者ともに諸手を挙げて大賛成とは言い切れないもどかしさがある感じがします。横浜という都市のイメージとカジノが合うのかどうか懸念があるのだと思います。
ここに来て元衆議院議員で元逗子市長の長島一由さんが8月の横浜市長選挙に立候補を表明しました。政策はカジノ反対の一点突破で行きそうな構えです。
カジノ反対の世論が強いとにらんで先手を打ちまちた。劇場型の派手な選挙で乱を起こそうということです。長島さんもばくちに打って出たと言えます。
長島さんが勝つようなことになれば安倍政権に衝撃を与えます。内閣を支える菅官房長官のお膝元ですから。面白い戦いになるのではないかと私は思います。
ただカジノ反対の一点張りは話しになりません。なぜカジノではいけないのか、それに代わる重点施策は何なのかを明らかにしないといけません。
東京は別格にして日本の最大都市横浜は厳しい局面に立たされています。世界に冠たる港ヨコハマは、完全に過去の話です。世界ランキング30位から外れてます。
2015年の統計で第54位です。上海、シンガポール、深圳がベスト3です。貿易の観点からの横浜港の世界における位置づけが良く理解できます。
2010年国勢調査では、横浜市の昼夜間人口比率は0.92。370万人の人口を擁する横浜市は、昼間の人口は、30万人少ないのです。
東京に通勤通学している方が大半だと推測されます。横浜市は中心性は決して高くないという事実を直視する必要があります。東京の巨大な近郊都市なのです。
世界に冠たる港ヨコハマは幻想、そして中心性も乏しい横浜市はどのように未来を拓くかを真剣に問わなくてはならない岐路に立たされてます。
カジノに賛成、反対だけで終始して良い訳がないのです。巨大な人口を抱える東京の近郊都市は急速に老いて行きます。一方で子育て対策も急務です。
ばくちの税収やばくち事業者からの納付金だけで賄えるはずはありません。どうしたら横浜という巨大都市を維持して行けるのだろうか頭を抱えます。
カジノからのあぶく銭に横浜の未来を託すのか、それとももっと別な道を見出すのか、いずれにしてもいばらの道です。市長選挙では、真剣な政策論議を期待します。