富士山と丹沢を源流とする酒匂川の治水勉強会開催。

昨年の4月に「富士山と酒匂川流域 噴火と減災を考える会」が発足しました。静岡県小山町の前危機監理官と火山研究者による講演会をそれぞれ1回、視察を1回行いました。

今年初めての取り組みとして2月27日、酒匂川の治水の最大の重要ポイントである南足柄市大口の福澤神社周辺の治水の現場の視察勉強会を行いました。

代表であるヤオマサ名誉会長の田嶋享さんを始め役員を中心に10人の参加でした。開成町の県西土木事務所に午前9時集合し酒匂川の治水の歴史と現状について学びました。

続いて福澤神社に場所を移し300年前の富士山の噴火後の治水の歴史遺産を見学した後、大口橋を渡り山北町の春日の森土手、岩流瀬の堤防を見学しました。

1600年代の初頭、小田原藩主の大久保忠世(ただよ)、忠隣(ただちか)親子は、酒匂川が足柄平野部に出る治水の難所の工事を行いました。

堤防を構築して水の流れを変えて岩にぶつけて水勢を弱める構造となってます。計3ヶ所の堤防で2度岩にぶつけています。この治水工事で足柄平野は米の増産が可能となりました。

人工的に水の流れを変えていることは強固でないことと裏腹です。1707年11月の富士山噴火後、1708年、1711年。1734年とここで大洪水が起きました。

富士山の噴火による大量のスコリアと呼ばれる降砂が流れ込み河床を上げてしまうのが原因です。このスコリアは、現在に置いても被害を与えています。

2010年9月の一日雨量500ミリを超える集中豪雨では、上流の静岡県小山町、山北町三保地区では土砂崩れなど大きな被害が出ました。

スコリアを含んだ濁流が中下流に流れ込みました。濁流は大口橋すれすれのところにまで達しました。河川敷のスポーツ公園は全て濁流に洗われました。

その後の復旧状況について神奈川県県西土木事務所の担当課長、担当職員が状況を解説してくれました。5年かけて掘削によって土砂を取り除き護岸の補強をしています。

新たな情報も得ることができました。現在神奈川県は静岡県と共同で酒匂川・鮎沢川水系として河川整備基本方針を国土交通省と協議中だということです。

元々は水系は一つ、流域は一体のものです。管理する主体である県が違うことによって分断されてはなりません。両者が共同で対応していることは画期的だと思います。

酒匂川水系酒匂川浸水想定区域図

また洪水による浸水想定区域図の見直し作業も進んでいるようで近く公開される見通しだと伺いました。新たな予測に基づいて自治体は対応を協議することになります。

各市町独自の対応ももちろんあるでしょうが水系は一つですので共同で対応しなければ実効性は持ちません。予測図の公開をきっかけに論議を深める必要があります。

2015年9月茨城県常総市では、前年に建設した市庁舎が鬼怒川の決壊で水に浸かりました。事前の予測が甘かったと言われても仕方ありません。

開成町のように新たな役場庁舎を建設し防災拠点とすることを計画している自治体は、地震だけでなく水害対策との整合性にも注意を払うことは絶対に必要です。