(参加者 中川宜夫さん撮影 以下同じ。)(お詫び;当初の原稿に変換ミスが多数ありました。申し訳ありませんでした。)

28日、「富士山と酒匂川流域 噴火と減災を考える会」で静岡県小山町の「山地強じん化対策」の現場視察を行いました。23人の参加でした。

富士山の山頂の一部は、住所が小山町です。小山町は標高が3776メートルで日本一の町ということになります。視察の前々日、富士山に連なる小山町は雪でした。

現場視察の場所は富士山の近く桜の名所としても知られる富士霊園から林道を登ったところにあります。小型バスがどこまで登れるのか不安でした。

幸い天気が回復しバスのタイヤを冬期仕様に変えてもらったおかげで現場近くまで登れました。そこから雪道を歩いて三ヶ所見て回りました。雪道には動物の足跡がありました。

今回の現場視察には日本大学生物資源科学部の笹田勝寛准教授に同行してもらいました。噴火の砂であるスコリアの活用などについて研究されていられる方です。

笹田さんから現場視察の前に小山町健康福祉センターの会議室を借りて1時間ほどスコリア対策の現状と課題について解説してもらいました。

噴火後の黒い砂粒であるスコリアは「水はけが良くて水持ちが悪い」という特質があります。植物の栽培には適しません。農業面での活用は困難です。

砂の中に穴が多数あり大量の雨が降ると浮力で砂が浮かび上がり下流部に流れ出してしまい下流部に堆積します。大量に河川に流れ込むと砂除けが出来ずに洪水を引き起こします。

1707年の富士山宝永噴火がまさにそうでした。酒匂川水系に流れ込み治水の難所である大口(おおくち)で3回大洪水を引き起こしています。長期に渡って悪影響を及ぼします。

2010年9月8日酒匂川の上流部に時間雨量で100ミリを超える猛烈な雨が降り注ぎ小山町や山北町で土砂災害が頻発し激甚災害に指定されました。

黒い砂が流れ出し下流部に堆積しました。山中に眠っていた黒い砂が300年の時を越えて牙をむいたと言っても良いです。まだまだ大量の砂は眠っています。

砂の流出を防ぐのは容易ではありません。小山町では林野庁からの直轄事業を取り込み10年間で70億円を投資して山地強じん化対策を続けています。

道半ばです。林道を隔てて上部は対策がなされているものの下部はこれからという現場を見ました。見下ろすと富士霊園が眼下に広がります。

再び猛烈な雨が降ると黒い砂が混じった土砂は霊園の方へと流れ出すことは十分想定されます。対策は追い付いていないというのが率直な印象でした。

小山町は手をこまねいていません。「山地強靭化総合対策協議会」を結成して地域住民も参加してスコリアの流出を食い止める小規模な土木事業を展開しています。

小学生の体験教室も実施してスコリアの入った土のうを積む作業を行ったりしています。国からも高い評価を得て「強靭化大賞2017」で金賞に選ばれました。

しかし、小山町だけが必至で頑張っても手に負えません。流域の各市町が結束して県や国を突き動かし長期戦略を立てて迅速果敢に対応策を打つ緊急課題だと思います。