アメリカの軍事力による北朝鮮への圧力が強まってます。日米同盟最優先の日本はもちろん同調しています。北朝鮮に影響力を持つとされる中国も包囲網に加わった様相です。

追い込まれ孤立感を深めているかと思うのが一般的です、しかし、既定方針を変更するそぶりは一切見せていません。狂気と片付けるのは簡単ですがなぜかを知りたいです。

京都大学教授の小倉紀蔵氏による『北朝鮮とは何か』を通読しました。小倉氏は思想的な側面から北朝鮮を分析しベールの向こう側を見せてくれています。

北朝鮮は自国こそが倫理的にも論理的にも優位に立つという自意識を強烈に持つ国だと解説しています。アメリカに従属して自主性を失ってる国こそ堕落しているということです。

核やミサイルの保有について「地球上で2000余回の核実験と9000余回の衛星の打ち上げ実験が行われたが国連安全保障理事会の決議があったことはない。」

「核実験、衛星の打ち上げを一番多くしたアメリカが唯一われわれだけが(中略)してはいけないという国連安保理決議を作り上げたこそ国際法違反である。」

「アメリカがあくまでも衝突の道を選ぶ場合、世界は、(中略)自分の尊厳と自主権をいかに最後まで守りぬき(中略)最後の勝利を達成するかをはっきり見ることになるであろう。」

2013年2月北朝鮮が3回目の核実験を行った際の朝鮮外務省の談話の引用がありました。北朝鮮側の立場が鮮明に表れています。この姿勢は微動だにしていません。

北朝鮮は、韓国に対しても心理的な優位性を確固として持っているということです。それは日本の植民地時代に対する抵抗が根っこにあります。

北朝鮮建国の祖は現在の国家主席のキム・ジョンウン氏の祖父のキム・イルソン氏です。抗日の英雄です。韓国にはキム・イルソンに匹敵する人物は存在しません。

キム・イルソンが主張したのが「主体思想(チュ・チェ思想)」といわれるものです。思想における主体、経済における自立、国防における自衛が三本柱だと言われます。

日本の植民地支配に徹底して戦い建国した北朝鮮こそ朝鮮半島を代表する国家だという自負を国家として持つのは当然です。いかに韓国が経済的に発展しても変わりません。

アメリカに代表される覇権勢力に抵抗し世界の正義を実現する国家は北朝鮮であり、その国家のルーツは日本の植民地主義への徹底抗戦にあるという満々たる自信です。

国家主席への崇拝が国家統治の根幹にあります。その指導の元に国民全体が一致結束することになります。逆らうものは家族であっても密告されることになります。

小倉氏の著書を読んでいて戦前の日本の国家主義を更に純粋にし強化した国家のような感想を持ちました。小倉氏も戦前の日本の国家体制との同質性を指摘しています。

自らの正義を信じ込んでいる北朝鮮に妥協は果たしてあるのでしょうか。相当に困難な道のりだと見るのが常識です。妥協は国家の存立を直ちに脅かしかねないからです。

そうなると北朝鮮を力で抑え込もうと追い込むことは窮鼠猫を食むかのような非常事態を招きかねません。国際社会は慎重な上にも慎重な対応をするべきだと思います。