神奈川県最大の中山間地の町、山北町の可能性2

山林が90パーセントの神奈川県山北町の典型的な山村、共和地区の人口のピークは、何と1945年、敗戦の年で745人。現在は188人です。

山北町全体の65歳以上の割合は36パーセントなのではるかに高い割合だと推定されます。まさに限界集落、消滅の道へ突き進んでいるかに見えます。

地域の統合の拠点である小学校は2010年度で137年の歴史に終止符を打ちました。その年の在校生は3人で全員が6年生だったということです。

子どもたちを通じて一同に会する場がなくなると地域社会の衰退は加速します。もはや遅きに失し打つ手は全くないのかと思わざるを得ないのでしょうか。

文部科学省の現在の基準によれば小学校の学級定員は35人です。これは36人になると2クラスに分かれることを意味します。1学年18人いれば学年は成立します。

総務省の地域地域力創造アドバイザーの牧慎太郎さんは1年間に18人の子供を生んでもらえるようにするか移住してもらることを地域の目標に掲げようと提起してます。

地域のまとまりの中心である小学校を維持しようという狙いです。私はこの考え方に大賛成です。18人なら全力を挙げれば何とかなると思えてなりません。

(旧共和小学校)

共和地区では旧小学校を森林再生の拠点としてリニューアルしています。「NPO法人共和のもり」が運営しています。3人の若者が移住し大活躍してます。

女性2人と男性1人。たくましいです。貧乏生活をものともせず女性の2人は、森林の再生と牧場の運営に賭けています。男性はパンを売りながらしのいでます。

NPOの理事長と事務局長にも話を伺いました。お2人ともJRと町役場を定年で退職してから活動に取り組んでいます。生まれ故郷を消滅してはならないという情熱のかたまりです。

横浜国立大学の名誉教授の宮脇昭さんが提唱している故郷本来の樹木による山林の再生へ挑戦を始めたことから若者との接点を持つことが出来移住へとつながったということです。

若者が結婚して子供が生まれればゼロからの再出発ができます。共和小学校の復活のドラマを期待して止みません。情熱が奇跡を産む予感がしてなりません。

共和地区には300ヘクタールの共有林を持っていて東京電力から高圧線の設置に伴う補償金が入り安定した収入があります。独自の若者定住支援策も可能だと思います。

共和地区は、いまや神奈川県の成長センターの位置を占めている川崎市と交流を続けています。これも大きな復活の糸口になると思います。躍進する大都市部の経済活力を活かすべきです。

西丹沢に降り注いだ雨は酒匂川へと流れ下流部の小田原市の取水堰を通じて川崎市にも水が送られているのです。つながっているのです。

夏休みのキャンプ交流に止まらず横浜市と山梨県道志村とで結んでいる水源林の保全のような関係にまで川崎市と山北町共和地区との関係を深めることを目指して欲しいです。

神奈川県最大の中間山地の町、山北町の典型的な山村、共和地域には夢も希望もふんだんにあると実感しました。共和地域の皆さんが本当に本気になれば再生可能です。