「西郷どん」への期待とちょっぴりの不安…。
来年は明治維新から150年の節目の年。維新の最大の功労者の一人、西郷隆盛が2018年のNHK大河ドラマに登場します。時宜を得た番組だと期待してます。
アメリカのトランプ大統領の登場で国際情勢は、一段と予測が困難となりました。ヨーロッパでもイギリスのEU離脱やフランス新政権の誕生で激動が続いてます。
アジアでは北朝鮮がアメリカに対抗し過激な動きを止めません。中国は、習近平国家主席の一極権力集中、国力の強大化の流れが顕著です。ロシアにはプーチン大統領が控えてます。
明治維新の時はお隣の大国中国がアヘン戦争で敗れたことが維新の引き金となりました。日本にとって基軸国が絶対的では無くなったことで体制一新をして国家の独立を守りました。
現代はアメリカが明治維新前の中国に当たります。アメリカの弱体化はもはや明らかです。日本の平和と安全を維持するためには新たな秩序を構築しなければならないはずです。
幕末維新期の再来であると見抜き先人に学ぶ必要があります。150年前の明治維新の立役者の西郷隆盛の生涯をたどり何を思いどう行動したのか学ぶ時だと思います。
西郷隆盛と言えばけた外れの人間的魅力が印象的です。私は西郷の言葉を記した岩波文庫の『西郷南州遺訓』を座右の書の一冊としています。
西郷の言葉を筆記したのは東北の庄内藩の藩士です。維新の時は敵として争った側の藩士が仁徳を偲び言葉を残そうとするなど常識ではありません。
西郷が敗者に対し温情ある振る舞いをしたことに対する恩義からの行動だとされます。西郷という人物のスケールの大きさがこの一事からもうかがえます。
西郷隆盛は、『遺訓』の中で私利私欲を排除することを政治家の戒めのいの一番に挙げています。欲望渦巻く政治の世界で政治家に倫理性を強く求めたのです。
西郷が最大のよりどころとしたのは「天」でした。全てを司る中心として「天」を位置付け「天」を敬い一体化することで身を処そうとしました。
自らの私利私欲を制する克己の姿勢を貫くことは「天」と一体化するための前提でした。「天」と一体化したのちには一切の世俗的価値は意味を無くします。
「命も名も官位も金も」一切いらない「始末に困る人」となります。そうした人でなければ困難をともにして大きな仕事はできないと断言しています。
これまでの国際秩序が崩れようとしている今、再びの幕末維新期において「始末に困る人」が数多輩出しないことには日本国の存立は危ぶまれます。
幕末維新期において最大の「始末に困る人」であった西郷隆盛の生涯を学ぶ必要がここにあります。こうした観点から来年のNHK大河ドラマを期待しているのです。
林真理子さん原作で中園ミホさん脚本、ナレーションはベテラン女優の市原悦子さん。女性が主役の強力な布陣です。女性目線に偏らないかちょっぴり不安です。
「天」の意思を自らの使命と受け止めて一切の世俗的な功名心を超越し生死をも乗り越えて時代と格闘した一人の日本男子の生きざまをリアルに描いて欲しいです。