神奈川県開成町職員による1日大学講師2
先週に引き続き開成町の第一線の現役職員に講義してもらいました。昨年4月に開校したばかりの日本大学の三軒茶屋キャンパスに足を運んでもらいました。
(田代孝和さん 於:日本大学露木研究室)
1998年3月に日本大学の文理学部を卒業した田代孝和さんです。田代さんは高校も日大の系列校ですので7年間日大と縁がある生粋のOBです。
私は、三軒茶屋キャンパスで危機管理学部とスポーツ科学部の学生に地域のまちづくりの最前線の講義をしています。日大OBによるまちづくり講義となる予定でした。
田代さんの講義は、予想していた内容をはるかに超えて大げさにいえば人生とは何かという哲学めいた話も盛り込まれていて学生にとって格好の就職ガイダンスとなりました。
大きな組織とは違い小さな町役場ではいきなり責任ある仕事が降りかかってきます。しかも当時の町長は、私です。新人であろうとお構いなしに命じます。
内心いきなり新人の私にやらせるのですかと衝撃を受けたと振り返ってました。何とか壁を乗り越えているうちに徐々に自信を付けたと話していました。
田代さんの実家は農地を所有していて本人は今も農業の手伝いもしています。職場でも農業関係の仕事とずっと縁があります。農業への思いを語ってました。
開成町でお茶栽培に乗り出そうとした時の担当者でした。農家との話し合いの様子を失敗談も含めて具体に話し学生たちもイメージが湧いたと思います。
学生たちの眼差しが変わり50人ほどのクラスの雰囲気にちょっぴり緊張感が走った瞬間がありました。田代さんが個人としてのボランティア活動の体験報告を始めた時です。
田代さんは、2011年3月の東日本大震災の後、30回近く個人として現地に足を運びボランティア作業をしていたということです。知りませんでした。
場所は、ボランティアが不足していた岩手県を選び1カ月に一度は訪問しようと決意し実践したということです。行政機関としての派遣ではなく個人でにこだわり続けました。
岩手県釜石市にも出掛けたということです。津波の犠牲者が極端に少なかった背景には度重なる防災訓練があり危機意識が共有されていたと語ってました。
危機管理学部の学生が多いので大変に参考になる話です。防災の専門家の必要性も強調していました。意欲を持った学生がいたのではないかと思います。
講義の運営は学生のリーダーが仕切りました。7、8人の班に分けて60分の講義の後意見交換をしてもらい質問をするというやり方で進めました。
最後の最後に「お給料は?」という質問が飛び出しました。田代さんも一瞬戸惑ってました。数字を示して回答すると学生の反応は「結構いいね。」でした。
田代さんは現在42歳です、破格ではないですがそれなりのお給料です。地方公務員の待遇は、恵まれているといえます。悪いことではありません。
地域のために尽くすという高い志を堅持し、使命感を持って仕事にあたれば理解されます。田代さんもそうした職員の一人です。講義を聞かせてもらい、そう確信しました。