ゲストティーチャー2

2010年3月に開校した神奈川県開成町の開成南小学校、先月30日に元町長としてゲストティーチャーに招かれました。3年生2クラスで社会科の授業のお手伝いをしました。

5月31日に私の息子が担任をしている3年3組で社会科の研究授業があり、そこに呼ばれました。学校より残り2クラスの子どもたちにも話して欲しいと依頼され出掛けました。

前回同様、子どもたちが開成町内を観て回りそこから出てきた様々な疑問を考えて開成町を知ることが授業の目的でした。町の北部と南部で街並みが全く異なるのはなぜかが一番の疑問でした。

6.55平方キロと神奈川県で一番面積が小さな町なのに町の北部と南部とでは町の景観は180度異なります。北部は農地、南部は新しい建物が多いです。

近くにおじいちゃんやおばあちゃんがいる子どもたちが多い地域です。昔はどうだったのか聞いてごらんと言いました。ほとんど田んぼばかりだったと答えるよと言いました。

50年前は水田だけと言っても良いぐらいの町の景観でした。そこから小さな町をどう発展させて行くか当時の町長さんたちが知恵を絞ったんだよと説明しました。

子どもたちの眼の輝きが変わります。ゲストティーチャーの一言一言を真剣に聞いてくれます。開成町は、神奈川県でも一番おいしいお米が取れるところでした。

田んぼはとても大切です。大切なものは遺さないといけません。河川から近く良い水を引きやすい町の北部は水田として残すことにしました。あぜ道にあじさいを植えて公園みたいにしました。

そしてお祭りを始めました。子どもたちから「あじさい祭り!」と声がかかります。子どもたちの反応がありやり取りができると授業をしているという実感が持てて楽しさがアップします。

皆が通っている小学校のあたりも全部田んぼだったんだよと言いました。こちらの町の南部の方は新しい建物を建てる場所に決めて町を創っていったんだよと言いました。

だから道も広くてまっすぐで大きな会社の研究所や新しいお店が出来ているんだよと説明しました。みんな納得してました。疑問が解けた顔をしてました。授業の後サインを求められました。

私が伝えたいのはただ一点です。「創った」ということを知って欲しいです。「創った」ということを知れば、自分たちの地域を胸を張って自慢できるはずです。

私は大学が教育学部出身で卒論は『脱学校』をテーマに選びました。1970年代の後半、学校は要らないと極論を主張していたイヴァン・イリイチという思想家を論じました。

イリイチの学校だけが教育の場ではないという理論にひどく心を揺さぶられて真剣に卒論に取り組みました。町長になってこの理論を応用しようと思いました。

子どもたちはもっと学校から外に出て地域の人々はもっと学校に出向いて地域全体で子どもたちを育てていくまちづくりを目指しました。新しい小学校ができたことがきっかけになると思いました。

新小学校が開設して7年が経ちました。学校と地域が一体となって教育に取り組む町こそが教育の町の名に相応しいと思います。町当局も教育委員会も学校現場も是非目指して欲しいです。