東京都議会議員選挙、権力の奢り症候群への審判下る。

自民党が東京都議会議員選挙で惨敗した翌朝の新聞の総理動向欄を見てあ然としました。東京・四谷の著名なレストランで夕食を食べながら今後の政局運営を政権中枢で話し合ってました。

お忍びでも何でもありません。堂々と安倍総理大臣の動向として掲載されてました。麻生副総理兼財務相、菅官房長官、甘利前経済再生担当相と会食。時間は午後６時より８時２４分です。

安倍総理の元にはマスコミ各社の出口調査の結果は伝わっていたことでしょう。自民党が惨敗していることを承知の上で今後の政権運営をフランス料理を食べながら協議する感覚が理解できません。

国政選挙と地方選挙は異なるとはいえ首都東京の政治決選の最終結果が出る直前のことです。仲間がバタバタと討ち死にすることが確実なのに最高幹部たちがフランス料理で会食とは…。

開票結果は、自民党は公明党と同数の２３議席です。５７議席、圧倒的第一党から真っ逆さまに滑り落ちる歴史的な惨敗です。「深く反省」との安倍総理の発言が伝えられました。

どのような言葉が発せられようとも前日の会食の一件を知った者にとっては虚しく響きます。本当の本気の危機意識ではなく上から目線の上滑りの感想に過ぎないと思います。

総理大臣は、自民党総裁です。総理の輝きいかんで党の盛衰が決まります。ましてや安倍一強と言われる政治状況です。責任を一身に背負っている立場なら総理官邸で緊急会議が常識でしょう。

権力の奢りが出ていると思います。総理の座を投げ出した第一次安倍内閣、野党に転落した後の苦難の時期をすっかり忘れ権力の座に座っているのが当然との奢り症候群に蝕まれています。

今回の都議会議員選挙、小池百合子都知事の都民ファーストの会の圧勝ばかりきらびやかにメディアに取り上げられます。私には真の勝者とはとても思えません。

加計学園の国家戦略特区をめぐる高飛車な応対、共謀罪の強引な国会運営、閣僚や幹部の失言、街頭演説のやじに激高する安倍総理など安倍政権の一連の奢り症候群に対する審判だと思います。

小池都知事の人気は確かに絶大です。しかし、まだ何も確たる実績を挙げていません。豊洲と築地問題など難問山積です。安倍政権と自民党の敵失がなければこれほどの圧勝はなかったと思います。

安倍政権がもっと謙虚な政権運営をし脇を固め、総力を挙げて小池都知事の政策の矛盾を突くか、あるいは是々非々の対応にとどめることに徹していればもう少し防戦出来たと思います。

戦術的には公明党と選挙協力を止めたことが決定的です。公明党の組織力と集票力なしでも勝てると思いこむことも奢り症候群の一症状です。今の自民党はそこまで強くありません。

惨敗の晩にフランス料理です。権力の奢り症候群はまだまだ拡大しそうです。安倍総理が自ら述べているように「築城３年落城１日」が現実味を帯び出したように見えます。

自民党内に名実ともに次の顔といえる人物が存在しないことと野党第一党の民進党が余りに脆弱なことで辛うじて命脈を保っているように見えます。ちょっとした躓きで一気に政局が動く情勢となりました。