小田原市と南足柄市の合併論議にかけているもの。
昨日、神奈川県南足柄市の自治会長経験者らで作っている市民グループの役員会に招かれ講演しました。テーマは、現在進行中の小田原市との合併協議についてでした。
8月10日に両市のこれまでの協議の議論がまとまり、いよいよ正式の合併協議に入るかどうかを判断するため市民への説明会が始まる段階です。
両市の協議の正式名称は「中心市の在り方に関する検討委員会」となっています。しかし、両市の合併問題が中心で事実上の任意の合併協議会の様相を呈しています。
この議論の組み立て方に違和感があります。神奈川県西部地域は、小田原市が中心となる圏域で南足柄市と合併ということになれば他を圧倒する存在となります。
両市の合併協議は圏域全体に多大な影響を及ぼす協議ですので圏域全体の未来像をどう描くかという議論を抜きに合併論議だけを走らせてはなりません。
圏域全体の将来構想を描きつつ圧倒的存在となる中心市と周辺の10の小さな町との間の連携をどのようにとるのかも合わせて検討する必要があります。
しかし、実態は2市の合併協議のみが先行してしまい圏域全体の将来構想や他の町との連携の在り方にについての議論は置き去りにされてしまっています。
富士フイルムという一流企業の城下町として全国トップランクの豊かな自治体として名をはせた南足柄市が企業の業種の大転換により大幅な税収の落ち込みが発生しました。
豊かすぎる時代の公共投資や人件費が重荷となりました。その解決策として小田原市との合併が浮上しました。固定費を削るには限界がありパイを大きくしようということです。
一方小田原市も圏域の中心都市とは言うものの人口減少が進みこのところ毎年700人から1100人程度人口が減少し20万人あったのが現在は19万2685人となっています。
小田原市としての南足柄市を抱え人口規模を20万人以上とし圏域の中心都市としての体裁を整えたいと考えたのだと思います。双方の思惑が合致して2市の協議がスタートしました。
2市の合併はあくまでも端緒であってその合併により圏域全体がどのような変貌を遂げるかを明確にして隣接する10の町とともに将来ビジョンを描かないと意味がありません。
ところが実際の協議は、昨年の10月から8月までと正式協議の期間が極端に短かったです。事前の事務的な折衝があったとはいえあまりに短期間での結論と言えます。
まずは合併から進むということだと割り切って考えるにしても広域の構想や圏域の他の町との連携の在り方の議論が薄すぎ、このままでは禍根を残します。
江戸時代はすべて小田原藩の領内だった地域です。2市の合併は、小田原藩の再構築に等しい大切な節目だと思います。もっと大議論をしてほしいです。
今からでも遅くはないと思います。両市が市民への説明に入る際に両市のトップが今回の合併の本来の意味、すなわち将来の目指す圏域の姿を政治家として語り説明すべきです。
市民の意見を最終的に判断するのは住民投票が望ましいと思います。特に編入される側の南足柄市は住民投票を通じて市民間の議論を深め最終判断へと進むべきだと思います。