中国訪問記1~地域の光を観る~

8月28日から9月1日まで北京、河南省鄭州市、河南省安陽市、河南省・登封市を訪問しました。きわめて意義ある訪問となりました。

今年は日中国交正常化して45周年の節目の年です。この年に民間の立場から日中友好に少しでも貢献しようと中国訪問を企画しました。

主催は、私が代表を務める一般社団法人・日中歴史文化交流センターです。神奈川県を舞台に歴史と文化で日中交流を進める団体です。

神奈川県小田原市を中心に活動を続けている西湘日中友好協会の協力を得て青少年書画展を企画し安陽市の中国文字博物館で開催できました。

小田原市の加藤憲一市長が開幕式に参加し未来を担う青少年の交流を通じて小田原市と安陽市との交流を進めることの大切さを訴えました。

登封市では中国最初の王朝である夏王朝の創始者で黄河の治水に功績があった禹(う)に関する国際シンポジウムが開催され発表ができました。

私たちが故郷の災害の歴史を学び子供たちに教える活動を続けていることは、中国の考古学や歴史学の専門研究者に新鮮な驚きを与えました。

以上が公式的な訪問報告の骨子です。しかし、私が今回の中国訪問で一番の衝撃を受けたのは中国の農村部の住民のまごころと触れ合ったことです。

登封市の大禹国際シンポジウムに合わせて禹の生まれ故郷とされる地で地域を守る象徴の禹をたたえる祭りが行われました。

市の中心地から車で1時間ほどかかりました。途中は水たまりばかりの悪路もありました。大きな禹王像が建っていました。通称、大禹村といわれます。

例年7月にお祭りを行うところを私たちの訪問に合わせて一か月後ろにずらし熱烈歓迎してくれました。4000人ほどが集まり熱気で溢れていました。

農村のおばさんたちが満面の笑みで迎えてくれました。外国人は珍しいのだと思います。握手を求めると我先にと握り返してくれました。

お祭りの儀式にも参列することができました。お線香ではなく2メートル近くある巻紙の棒に火をつけて砂の入った巨大な器に立てます。

お供えものもスケールが大きいです。家畜だけではなくわにの人形も備えるのには驚きました。村を挙げての行事であることがひしひしと伝わってきました。

きらびやかなどんな公式行事よりもズシリと私たちの胸を打ちました。地域の文化に触れあうことが本来の観光の意味だと実感しました。

大禹村の行事はまばゆかったです。地域の光そのものでした。キラキラした光を観ることが観光です。本当の観光ができたと思いました。

地域の文化を象徴する行事が廃れることは地域の光、すなわち活力が減じることです。地域の祭りを維持することがいかに大切かを再確認しました。

日本でも盛んに国際観光の振興が叫ばれます。本当の観光を盛んにしたいのならば地域の光を守りさらに磨きをかける必要があります。

地域にしっかり根差した行事を地域全体で盛り上げている姿こそが最高の観光資源です。外国人の感動を呼び覚ます強力な資源です。