総選挙5~憲法9条改正論の本質を見破る~
今度の総選挙で構図がすっきり見えたのが憲法改正に対する各党の立ち位置です。あいまいだった民進党が割れた結果です。
希望の党の誕生で憲法9条を含めた改正が明確になりました。自民党と希望の党と維新は自民党と同一歩調をとるでしょう。
平和の党を自任している公明党はこれまでのパターンですと多少の紆余曲折はあっても最終的には自民党に同調するとみます。
立憲民主党と共産党、社民党は、安倍政権下での改憲は反対の立場で一致します。9条改正は肝ですので絶対反対です。
三極に分かれました。総選挙後の論議が分かりやすく展開できます。自民党は正々堂々と改憲を問うて欲しいです。
自民党は、自主憲法の制定が立党以来の悲願です。現行憲法はアメリカから押し付けられたものだという立場です。
しかし自民党の外交方針は日米同盟一辺倒、アメリカの押し付け憲法はだめだと言いながら矛盾の極みです。
自主憲法の制定というのならば押し付けたアメリカに対して堂々と物言う立ち位置を確保して憲法改正を考えるのが筋です。
アジア・太平洋戦争に敗れた日本はアメリカによって丸裸にされました。その象徴が憲法であったことは疑いの余地はありません。
9条で戦力を持たないとまで明記したのですから。日本人はこの方針を是として戦後70年を過ごしました。
自衛隊の創設や強化、日米軍事同盟の深まりいろいろの事態が起こってもこの看板は下ろさなかったわけです。
自民党は、ついにこの看板をいじろうとしているわけです。ならば押し付けたアメリカに追従する矛盾を明らかにすべきです。
おそらく自民党の本音は、戦後アメリカが持ち込んだ一連の民主主義改革を否定したいのだと思います。
その流れの中に理想主義的平和主義があり憲法9条が制定され国民の間に定着している現状を打ち破りたいと考えているはずです。
時あたかも北朝鮮の核ミサイルの危機が日本にとっての脅威となっているこのチャンスに突き進もうということです。
自民党はわかりやすく言えば戦前の国家主義回帰の流れと現行のアメリカの軍事戦略との合体を図っているのです。
このように考えれば自民党の方針に矛盾はありません。戦前の国家体制でアメリカと一心同体の道を歩むという主張です。
主たる敵は今は北朝鮮ですが本質的には躍進著しい中国であることは明々白々です。日本は今この選択を迫られる位置にいるのです。
単に自衛隊の存在を明記するとかの話ではなく日本の国の方針が根本から覆されようとしていることに気づかなければなりません。
戦前回帰と日米軍事同盟なんてとんでもないと思うのならば行動しなければなりません。総選挙の結果は改憲派の圧勝ですので。
民主主義的体制と平和主義という根幹を維持したいのならば国民運動で立ち上がらない限り阻止はできません。
1960年の岸内閣の時の安保改定反対運動並みに世論を盛り上げないと止められないのではないでしょうか。日本の岐路です。