教育のまちづくりををかたちにする。

教育のようなソフト事業を目に見えるものにするのは簡単ではありません。施設建設のタイミングが合わないとできません。

私が町長を務めた神奈川県開成町は、私の町長時代にタイミングがやってきました。2000年代に入って児童数が顕著に増加したのです。

町内にただ一つある小学校の児童数が1000人を超えて校庭や施設が手狭になってきました。運動会の時のお昼時は雑踏のようでした。

我慢しようと思えばまだ我慢できる水準でしたが、先行して新しい小学校の建設に着手しました。開発区域のまちづくりの柱とするためでした。

26ヘクタールのほぼ水田の地域に先行して質の高い小学校を建設して地域の価値を上げて住む人を誘致する促進材料としたのでした。

教育施設の充実は若い人の移住を促す最強のツールだと考えて開発事業に組み込みました。この発想は見事に当たりました。

500人で開校した新しい小学校は現在は626人に増え、周辺の住宅地には新しい家が着実に増えています。教育と開発のコラボレーションです。

この発想を深化させてもう一段質の高い教育のまちづくりをかたちにできないか構想を練っています。誰も求める教育施設は何なのかを考えてます。

神奈川大学人間科学部教授の大竹弘和さんが打ち出している「地域交流デパートメント構想」に着目し具体化を一緒に考えているところです。

大竹さんのアイデアは、学校施設は未利用な時間帯が多いので民間の事業者が施設を利用して教育事業を展開しようというものです。

児童・生徒数が減少して空き教室が多くなっている学校にとっては魅力的なアイデアです。また学校の統廃合を考えている地域にも応用できます。

横浜市のような巨大都市でも児童・生徒数の減少により学校施設の統廃合を推進する必要に迫られ大竹さんのアイデアを試験的に実施しようとしています。

しかし開成町は実情が違っていて新しい小学校の区域はしばらくの間増加傾向が続きます。学校の施設を使って事業を進めるのは難しいです。

学校の隣接地に新たな教育施設を建てて塾などの機能を集約させたらどうかと考えました。一か所で様々な学びができるサービスです。

民間で行う事業ですので収益性が大事です。スポーツ施設が併用できれば利潤をあげられます。温水プールが必須となります。

小田急電鉄とタイアップしてスポーツ事業を展開している民間企業と具体の検討を始めています。大人も子供も使えるスポーツ施設です。

開成町役場の幹部職員と意見交換する機会を得ました。おおむね歓迎の方向でした。開発区域に新しい施設が集中してしまう懸念も出ました。

古い小学校の区域は児童数が減少傾向にありしかも施設が古いですので施設面での格差は否めません。民間施設も充実するとなると格差は広がります。

公平さを保ちたい町としては気がかりなのは理解できます。しかし事業の採算性は民間企業としては譲れませんので判断が難しいところです。

大竹さんや民間スポーツ事業者とチームを組んで構想を煮詰め町の理解が得られるプランにしたいです。教育のまちづくりを再び形にする提案をします。