亀井静香さんのこれから始まる天下御免の大仕事。

81歳、現役最長老の衆議院議員でした亀井静香さんが引退し先月28日パーティーを開催しました。「ありがとうございます」と看板が掲げられていました。

東京・赤坂のホテルの一番大きな宴会場はラッシュアワーのようでした。一人ひとり亀井さんと手を握りねぎらいの言葉をかけていました。

警察官僚から飛び出し一度も落選することなく連続当選13回です。広島の田舎の選挙区で最初の選挙は土民軍の反乱であったと話していました。

有力者は誰も応援してくれず一人ひとり這いずり回って当選を勝ち取りました。勝利した後は実行力がありますので盤石の地盤となりました。

私は亀井静香さんという政治家をNHKの政治記者として見てきました。直接の担当ではありませんでした。意外感が一番印象に残ってます。

いかつい風貌ですので乱暴者みたいな第一印象があります。しかしその激しさは弱者のためにありました。運輸大臣の時のことです。

就職内定をもらった客室乗務員が正式に就職できずに内定取り消しされる事例が相次ぎました。運輸大臣が敢然と立ち上がり見直しを迫りました。

強きをくじき弱きを助けるをまさに地を行きました。風貌と体内に流れる熱き義侠心とは全く異なるということを知りました。

2012年の衆議院選挙で野中広務さんより紹介を受けて亀井さんの薫陶を直接受けました。口は乱暴ですがハートはとてもやさしいことを実感しました。

力強く支援してもらいましたが私の力不足で国会議員のバッジをつけることはかないませんでした。落選後も気にかけてくれる親分気質の持ち主でした。

警察官僚出身者として日本の危機管理体制の不備を強く問題意識として持ち日本大学に危機管理学部を創設する原動力の一人となりました。

警察庁や防衛相の実務を熟知している教官を配置し日本で最初の危機管理を専門とする学部の創設は時代を読み取った行動力のたまものです。

亀井静香さんが国会議員の最終盤に最も気にしていたのが北朝鮮情勢でした。あまりに追い込み過ぎて窮鼠猫をはむことを避けなければならないと主張してました。

パーティーの席上でもこの話題を取り上げて同様の主張を繰り返していました。北朝鮮というと叩くこと一辺倒の情勢の中で勇気ある発言です。

亀井さんのこうした発言の背景にはアメリカ一辺倒ではいけないというバランス感覚があります。それを実際に口出して言えるところが天下御免の面目躍如です。

バッジをつけていなくても韓国の大統領とも会うし中国にも北朝鮮にも出かけると断言していました。亀井静香外交はこれから始まります。

亀井さんにはもう一つ手掛けて欲しいことがあります。天皇に対しても直言を恐れることなく堂々と持論を述べてきたのが亀井さんです。

日本は大きく内政の転換期を迎えています。思い切って皇居を京都に移し新たな国家の再出発の象徴とするべきではないかと思います。

こうした正論を堂々と発することができる実力者は亀井さんしか見当たりません。亀井さんの持論でもありますので批判を恐れず高らかに打ち上げて欲しいです。