私が住む神奈川県開成町を拠点に活動を続けている「あしがらの歴史再発見クラブ」の出前授業が今月1日の午前にありました。

町長時代は何度かこうした授業の先生をした経験があります。全く様子が違っていました。時間は、せいぜい50分程度でした。

ところが午前8時半に授業が始まり10時半まで休みなしで授業は続きました。子供たちはおしゃべりをすることました。

大学の教員である私が見て2時間の授業を集中して聞くのは相当の我慢が必要です。開成南小学校の4年生100人はそれができました。

先生の腕だと思いました。授業を担当したのは、元開成小学校の先生の大井みちさんです。豊富な経験があるからこそできるすご業だと思いました。

もっと驚いたのは本人は授業の出来栄えに全く満足していないことでした。反応がいま一つというのです。もっと夢中になって欲しいと願っていたみたいです。

長時間、集中させるだけでびっくりしているのにもっとレベルの高いところに目標を置いていました。現状に満足しないから進歩があるのだと思いました。

教育界の流行語に「アクティブ・ラーニング」があります。授業を受ける側が能動的に関わる学習ということです。一方通行ではいけないということです。

大井さんの出前授業は「アクティブ・ラーニング」のヒントがふんだんに散りばめられていました。子供たちが自然と参加していきます。

話しの区切りのたびに子供たちに問いかけ直します。「わかったかな。」。そして質問を促します。手を挙げさせ質問をこなします。

子供とのやり取りが上手なのです。だから自然と授業に子供たちが入ってくるのです。一方的に話をしていてはすぐに飽きてしまいます。

授業の中身は、自分たちのふるさとを流れる酒匂川の災害の歴史や治水の大切さについてでした。事前の学習で現地を見ていることの効果が出ていました。

授業ではパソコンを使って映像が映し出されていましたが、実際に現場を見ているのとは違います。現場の様子が五感でとらえられていることは大きいです。

更に加えて水防用具に実際に入れる石を持ち込んできて子供たちに見せていました。こうした地道な努力は子供たちだって理解します。

時折、一緒に参加していた「あしがらの歴史再発見クラブ」の面々にも質問に答えて欲しいと大井さんから指名があります。

これも効果的です。いろいろな人が登場してきて答えることは子供たちにとって刺激になるからです。私も元町長ということで質問に答えました。

授業終了後、子供が「元町長さん」と言って質問してきました。堤防が低い箇所があって大水の時大丈夫かという心配があるということでした。

いい質問ですねと答えました。集中豪雨がしばしば発生しています。これまで大丈夫だから大丈夫とは言い切れません。再点検が不可欠だからです。

大井さんは出来栄えに全く満足していませんでしたが私にとってはとても参考になる出前授業でした。次回は一部分だけでもやってみようという気になりました。