明治維新150年

新年あけましておめでとうございます。今年もブログを通じて政治やまちづくりの話題を中心に発信を続けてまいります。宜しくお願いいたします。

安倍総理の年頭の所感は今年が明治維新から150年の節目の年だと強調してます。先人のように力を合わせれば未来を変えられると断言しています。

私も今年が明治維新から150年の節目の年であることの重要性を捉え直すことについて全く異論はありません。しかし捉える視点を間違ってはなりません。

明治維新が安倍総理が言うように完全に光り輝く側面ばかりであったかを中立的立場で評価すべきです。光と同時に影もありました。

明治維新から150年というからには維新から現在までの日本の歩みを見つめ直し未来に向かってどのような教訓をくみ取るべきかという視点が大切です。

150年前日本の先人たちは、江戸幕府を倒し、天皇を中心とする中央集権国家体制を整えることで日本の植民地化を防ぐことに成功しました。

この一点は明治時代の先人たちの努力のたまものです。しかし明治の日本国家は徐々に変質を遂げて軍国主義の色彩を強めて行きました。

その結果は、台湾、朝鮮の植民地化から中国大陸への侵略、最終的にはアジア・太平洋戦争へと突き進みました。この事実から目をそらしてはなりません。

そして戦後は一転して戦前の敵国であったアメリカの国家戦略のもとで日本は独自の外交を封じられ占領体制をいまだ引きずっています。

明治維新による近代化の成功の光のみを捉えて神話化するような歴史認識は危険です。軍国主義という鬼っ子を産み落とした影を同時に語る必要があります。

また日米同盟路線が日本外交の基軸に据えられアメリカの国家戦略の範囲内でしか動けない日本を生み出してしまっている現実を評価し直す必要があります。

明治維新から150年を語る時には、維新から誕生した国家が軍国主義へつながった反省に基づき再び軍事力優先の日本にしないという決意が大切です。

明治維新が偉業であったという一点のみで捉える発想はその後の日本の歩みを見失い維新を過度に美化する姿勢に堕してしまいます。

また、アメリカ一辺倒という日本の外交路線を自明のこととする思考停止状態に陥り日米同盟路線を見直す努力を排除する危険性があります。

不遜な言い回しですがもし私が安倍総理で明治維新から150年を語るのであればまずは維新をもたらした偉大な志士たちの高い志を評価します。

同時に維新の志士たちが目指した明治国家が変質を遂げて軍国主義化した歴史を語ります。そして平和国家として再出発した戦後の日本についても触れます。

結論は日本は決して軍事力優先の国家にはならないという決意を述べます。同時にアメリカに対しても軍事力を背景にした力づくの戦略の見直しを迫ります。

このような年頭の所感こそが明治維新から150年を捉え直す正しい姿勢であると私は思います。明治維新を歴史的に捉え語ることが何より大切です。