私の2018年その7~酒匂川の一級河川化に向けて動く。
日本一の富士山、世界の観光地箱根山、神奈川が誇る名山の丹沢。この三山を源流とする酒匂川が国が管理する水系でないのか不思議でなりません。
昨年10月山梨県富士川で第6回全国禹王サミットが開催され富士川上流の釜無川の土手の上に立ちました。管理水準のあまりの違いにがく然とします。
これは富士川に限ったことではなく、どの国管理の水系の河川の土手に行けば同様の感慨を持ちます。ひとことで言えば格差に圧倒されます。
国管理の水系を一級河川と言い全国で109あります。国の社会経済上重要性のある河川とされています。複数の県にまたがっているのが原則です。
東京オリンピックが開催された1964年に河川法の大改正がありこのような河川管理の体系が整備されました。以後、この体系が続いてます。
酒匂川を国管理の基準に当てはめてみますと水源地のうちの二つは静岡県、一つは神奈川県で複数の県をまたがって流れています。
あとは日本の社会経済上重要な河川とみなすかどうかです。世界に誇る観光地を控え日本は観光立国を切り札の一つとして人口減少時代を乗り切ろうとしてます。
昨年夏の富士山の登山者数は28万5千人です。富士山は世界文化遺産に認定を受けています。社会経済上の重要性は増す一方です。
いったい何が欠けているのでしょうか。頭をひねりましたが理由がわかりません。日本大学危機管理学部の国土交通省の出身に先生に伺ってみました。
静岡県に菊川という一級河川があります。静岡県内だけで完結する河川ですので基準に合いません。地域の熱烈な運動が指定の背景にあったとのことです。
地元自治体の住民や行政が河川の管理の質の向上を求めて強力に国に働きかけることがまず第一歩だということを如実に示していると思いました。
菊川と聞いてすぐに思い出したことがあります。2007年4月から3年間委員を務めた内閣府地方分権改革推進委員会のことです。
委員会では同一の県内で完結する河川は県で管理するのが基準上も地方分権の考え方からしても妥当ではないかという意見が主流でした。
こうした議論の展開を聞いた菊川流域の当時のある首長が委員であった私のところに訪ねてきて猛然と一級河川維持を申し入れてきました。
こうした動きが一級河川に指定された原動力の一つであると思います。一級河川になれば維持運営管理は全て国の責任で実施され経費も国持です。
地方分権というお題目は理解できても実際の管理は国レベルと県レベルとでは雲泥の差があります。地域の行政のトップとしては格下げは容認できません。
酒匂川水系の自治体のトップは県レベルの管理では近年の集中豪雨に対する備え、富士山の噴火に対する対応が盤石ではないと思っているはずです。
「富士山と酒匂川流域 噴火と減災を考える会」で昨年6月に行ったシンポジウムで大井町の間宮町長は一級河川化を主張していました。
間宮町長のような本音をきちんと打ち出して近隣市町が力を合わせて行くべきです。住民の立場から積極的に支援し今年も治水のシンポジウムを考えます。