与党のしぶとさと野党のふがいなさ。
安倍総理の平昌(ピョンチャン)オリンピック開会式への参加が決まりました。内外情勢を見極めた末の巧みな判断だと思います。
自民党内では従軍慰安婦をめぐる合意事項に関連してムン・ジェイン大統領が改めての謝罪を要求したことから出席を止めるべきとの声が高まってました。
こうした自民党内の声を十分承知の上で安倍総理は出席の決断を下したのだと推測します。反対の声がある中で日韓関係の未来を考えたとの証になるからです。
外交は演出でもあります。反対の声がある中で訪問することで韓国側は安倍総理を丁重に遇せざるを得ません。日本側は、貸しを作った格好です。
冷静に考えれば2020年の東京オリンピックがありますのでここで出席を取りやめる選択する余地は極めて小さかったのだと思います。
となると出席の決断をいかに価値ある形で演出するか舞台回しが大切となります。所期の目的を十二分に達成した形で事態は推移しました。
従軍慰安婦の問題は平行線に終わることは確実です。それでも安倍総理は日本側の主張を展開できます。日韓の連携の大切さも訴えることもできます。
保守のしぶとさを見せつけたと思います。政権運営に携わった経験が長いためこうした立ち回りができるのでしょう。世論は評価します。
一方野党側はというと民進党が呼び掛けた統一会派は潰れました。最初から憲法改正に関する立ち位置が大きく異なるため難しい作業でした。
最大の支持母体の労働組合組織、連合が野党がばらけるのを嫌っているという実情を受けての統一会派の動きであったことは間違いありません。
憲法改正は安倍総理の宿願であり今年の最大の課題です。その問題に対する立場が違うのにひとくくりにできると考えるほうがおかしいです。
今度の通常国会は巨大与党とばらばら野党で対峙する結果となりました。良かったと思います。ここからどの野党が中心となるかの競争です。
常識的には立憲民主党です。先の衆議院選挙でブームを起こした熱気をつなぎとめ更に党勢を拡大するためには旗幟鮮明さが不可欠だと思います。
その旗印は、安倍総理が進める憲法改正論議にどのようなスタンスで臨むかです。自民党が考える9条改正に真っ向勝負を挑めるかです。
こうした中で神奈川県において不可思議な動きが出てきました。一部の野党の国会議員が「自由民権会議@神奈川」という超党派の団体の結成を進めています。
民進党神奈川県連はこの団体に国、地方を問わずすべての議員が所属するように求めたとの報道がありました。統一会派の地方版のような動きです。
自由民権会議なるものがどのような団体なのかは不明です。しかし超党派というのですから共産党を除く野党全てが対象なのだと思います。
安倍総理が進める憲法9条の改正を是とするのか否か明確なスタンスは決めないまま、まずは一つの器にということでまとめようとしているように見えます。
憲法改正の動きがより具体化したらその時議論するのではまたもやばらけるだけではないでしょうか。野党の動きは国も地方もふがいなさが目立ちます。