沖縄県名護市民の深い苦悩が現れた選挙結果。

(沖縄県名護市辺野古)

4日に投開票が行われた沖縄県名護市長選挙で辺野古沖への基地建設に反対を続けていた現職が敗れました。基地建設をめぐる動きに変化が生まれそうです。

当選した新人は、自民党や公明党の支援を受けていますが新基地建設に対する態度は明言せず学校給食の無償化などを重点に掲げました。

基地問題は徹底して争点となることを避けて市民の生活により密着した政策課題を掲げることで市長の座をつかんだと言って良いです。

選挙結果に名護市民の深い苦悩がにじみ出ていると思います。基地建設で対立がさらに先鋭化するのはこりごりだという心情があるように思います。

基地問題ではなく市民の暮らしの方に視線を移すことによってかすかな希望を見出したいとの気持ちが有権者を動かしたように私には見えます。

しかし基地問題が消えたわけではありません。当選を果たした新人の渡具知武さんは政権とは一定の距離を置かなければならないと明言していました。

基地移設に対して反対する市民の声が依然として強いことを十分に理解しての受け答えだと思います。一気に容認に向けて動くということはなさそうです。

宜野湾市の市街地の真ん中に存在する在日米軍普天間基地の名護市辺野古への移転は全くもって重苦しい課題です。すっきりとした解決策が見つかりません。

ただ政府・与党が推す新人が当選したという事実は基地建設に向け動き出す流れになったと見るのが常識的です。沖縄県知事選挙が決定的岐路となります。

任期満了は12月です。今年中に辺野古移設問題は重大な局面を迎えます。移設反対を唱える翁長現知事が前回の選挙では圧勝しました。

もともとは自民党の県連幹部だった翁長さんを共産党を含めて推すというオール沖縄と呼ばれる体制が勝利へと導きました。しかし情勢は変わりました。

移設予定地の名護市で敗れた衝撃は大きいです。基地反対ばかりではなく沖縄県全体の振興策をもっと考えるべきだとの声が強まることは間違いないです。

この声に抗して翁長知事陣営が反対を貫き再選できるかどうか流動的になってきました。一つの問題だけを争点にする住民投票ではなく首長選挙の難しさがあります。

名護市長選挙のように移設の是非については前面に出さずに政府とよく話し合い円満な決着を目指すというあいまいな戦術で徹底されたらどうなるかです。

翁長知事がかなり追い込まれると私は見ます。辛うじて逃げ込めるかどうかの勝負になってきたと思います。守りの選挙は厳しいものがあります。

県知事選挙後、普天間基地の移設問題は最終的な山場を迎えます。政府は、合意を目指すのならば底流に流れている基地建設反対の声を受け止めるのが第一歩です。

その上で国としての意思と県民の声との間で和解できる案を詰めることができるかどうかにかかっています。国と沖縄県との真剣勝負となります。

おカネをばらまくから納得して欲しいなどという態度は論外です。基地で犠牲になってきた沖縄県民の苦悩をくみ取り沖縄県の誇りと自治を尊重する形でしか話は進みません。