大学生の卒論に学び若い感性に触れる!

「小田原・足柄を主題にした学生の卒業論文に学ぶ会」が昨日神奈川県開成町でありました。第10回目です。若者のみずみずしい感性に触れることができました。

中心になって取り組まれているのは元ソキア技術者の井上三男さんです。発表者として参加した若者が井上さんを支える体制ができています。

今回初めて外国人の発表者が誕生しました。日本大学文理学部総合基礎科学学科の李楊さんです。中国・上海市の出身です。

専攻は、地球情報数理科学です。聞いただけで理解が難しいかなと思ってましたが実際そうでした。しかし狙いはよくわかりました。

神奈川県大井町にある地震観測井戸の地下水位の変化から地震時の変動予測ができるような数学上のモデルを作りたいというものでした。

2016年の熊本地震の際、私たちの地域は無感でした。しかし地下水位は8.3センチ上昇しました。人間より地下水の方が敏感ということです。

二番目の発表は、神奈川大学大学院の岡崎佑也さんです。歴史が先行で幕末に神奈川県西部で発生した嘉永地震についての実証的研究発表でした。

史料を丹念に読み込んでいる印象を受けました。街道の復旧状況などから小田原藩の地震対応体制は評価できると分析していました。

地震の時は海に逃げるというのが当時の判断だったということです。火災がリスクの一番だったことが判断の元となっているのではないかと分析してました。

三番目は、東京電機大学理工学部の鶴田直人さんです。3次元の再現技術を活用して豊臣秀吉によって一夜にして築城された一夜城を検証していました。

小田原城から実際に見えるのかどうか地形図データや実際に足を運んで地形を見てコンピューター画面上に再現してみました。

3層構造の城を造ってようやく2層以上が見えることがわかりました。巨大な城を一夜にして作ることはできませんので伝説であることの傍証でもあります。

最後は、東京電機大学理工学部の村山拓巨(たくみ)さんと三浦峻さんです。静岡県小山町で2010年9月8日に発生した集中豪雨を踏まえての研究発表です。

同じ規模以上の集中豪雨が発生した場合、山林の土砂崩れで流木が流出し天然ダムができ決壊した場合の被害想定についてシミレーションしました。

集中豪雨と流木の被害は最近顕著ですので勉強になりました。被害は格段に広がりますので避難場所の設定などの再検討も必要となります。

また、天然ダムが決壊して一挙に濁流が流れた場合は中・下流にも多大な影響を与えます。広域的な対応策が喫緊の課題だと思いました。

学生には協賛企業の富士フイルムから図書カードが贈られました。運営している実行委員会には富士フイルムの化粧品のプレゼントがありました。

特別公演は小田原城天守閣館長の諏訪間順さんでした。発表者もいましたのでぴったりの講演となりました。昨年5月リニューアルされた天守閣入場者好調のようです。

仕上げは軽食で懇親会です。半日たっぷりの学ぶ会ですが時間のたつのを忘れます。地域として受け止め活かした行きたいです。