酒匂川の流域治水の強化に向けて流域自治体動き出す。
このところの激しい雨で静岡県東部で被害が出ました。御殿場市の東富士演習所内で土砂崩れが発生し民間人二人が死亡しました。
この辺り一帯はスコリアと呼ばれる富士山の噴火の砂が堆積している場所です。軽くて浮きますので土砂崩れが発生しやすいのです。
2010年9月8日の台風9号を思い出しました。静岡県小山町各地で土砂崩れが発生し大量のスコリアが河川に流れ込み中下流域に被害を出しました。
このブログを書いている3月9日早朝も集中豪雨は続いてます。テレビニュースは関東各地域の河川が氾濫警戒区域に達したと報じてます。
集中豪雨が土砂崩れや河川の氾濫を引き起こす災害は、2014年広島市、2015年鬼怒川決壊、2017年九州北部毎年繰り返し発生しています。
被害を小さくするための基本中の基本は流域各自治体の自治体の連携強化にあることはどなたでも常識と思われることでしょう。
ところがこの常識が自治体ごとの縦割りの壁に阻まれてなかなか前進しないのが実態です。結果として被害を被るのは流域の住民ということになりかねません。
(撮影 藤井俊治さん)
現状を改善しようと2016年4月に「富士山と酒匂川 噴火と減災を考える会」を発足させ昨年6月には流域自治体の首長によるシンポジウムを開催しました。
酒匂川流域の自治体が連携を進め治水体制を強化して欲しいというのが狙いでした。私たちの声に自治体が応え徐々に動きが見えてきました。
昨晩、「噴火と減災を考える会」の役員会がありました。小田原市との意見交換を重ねている副会長の幕内忠一さんより現状報告がありました。
小田原市の呼びかけにより酒匂川流域の治水について議論が始まりました。各自治体のトップの意見を聞き新年度更に前進させる方向だと伺いました。
住民の動きに応え行動してくれていることに安堵しました。次は何らかの新たな体制をとって具体的な動きへと進んで欲しいです。
洪水のハザードマップ一つをとっても各自治体ばらばらで作成しています。隣の自治体がどんな被害想定をしているのか情報共有をする必要があります。
このあたりから連携を深めて常に情報共有を密にする体制へと発展させていくのはどうでしょうか。各自治体の広域協議で話し合って欲しいです。
酒匂川の場合はもう一つ難問があります。源流の一つの富士山周辺は静岡県、他の源流の箱根外輪山と西丹沢は神奈川県で県をまたがって河川が流れています。
県をまたがっているということは異なる県の自治体が存在するということですので日常の交流が乏しいですので連携が更に難しくなります。
複数の県にまたがる河川の管理は本来ならば国です。酒匂川の場合はなぜか県管理の二級河川です。この根本的な管理の在り方も再検討すべきです。
「噴火と減災を考える会」は、なぜ国管理の一級河川とならなかったのか経緯を調査し一級河川化を主張していく考えです。
国が直轄で整備と管理を行う一級河川化は国の財政事情からして容易ではありません。流域の自治体が連携して知恵を絞らないと実現はおぼつきません。