外されてうろたえる日本の危機を考える。
今現在は森友学園問題で窮地に立たされている安倍政権ですがほんの少し前までは安倍一強政治と言われ、強さが売り物でした。
しかし、その強さはあくまでも日本国内の内向きもものでした。朝鮮半島をめぐる世界を動かすドラマの舞台で存在感を示すことができません。
南北対話は韓国のムン・ジェイン大統領の執念が動かしたと思います。大統領就任前から南北融和の姿勢は一貫して堅持されました。
そして驚きのニュースは、一気にメリカのトランプ大統領とキム・ジョンウン委員長との米朝会談が5月下旬までに実現の運びとなったことです。
トランプ大統領なら即断即決もありうるのではとの憶測する向きもありましたが大胆な方針転換は世界をアッと言わせました。
日本の安倍政権は、日米同盟一辺倒でアメリカと歩調を合わせてというか一歩先を歩んで北朝鮮への圧力一辺倒外交を続けていました。
後ろを振り返ってみたら話し合いの機運が一気に醸成し会談日程まで決まってしまいました。安倍総理や外交当局は目が点になったことでしょう。
4月に急きょ訪米することになりました。北朝鮮の核施設の点検費用を日本が支出することを早々と方針を固めたとの報道もあります。
外されてうろたえているように見えます。外されたなら外されたと開き直り事態の推移を受けて立つという堂々たる落ち着きは感じられません。
安倍政権を攻めたくて述べているのではありません。強力と言われる安倍政権ですらこのような対応しかできない日本の存在感のなさを憂いているのです。
野党はここぞとばかり安倍政権の右往左往ぶりを叩いても、それはそっくりそのまま自らの身に返ってきます。野党は現実的な確固たる外交戦略がないからです。
ここに日本の悲劇というか危機があります。政府・自民党、加えて公明党の与党の外交路線が基本として全てであってその路線が破綻すればおしまいです。
なぜこのように薄っぺらで深みのない外交路線しかとれないかというと原因は明々白々です。アメリカ一辺倒で思考停止の状態が戦後続いているからです。
アメリカというかつての敵国と共同歩調をと言えば聞こえは良いのですが実質的には従属路線をひたすら歩むことが外交で今もそうです。
これでは独自に知恵を巡らせて日本の国益を守るなどということに行き着きません。アメリカに追随することですべて一件落着だからです。
頼りのアメリカが日本の予想を裏切る行動に出た場合は基軸がなくなるのですから漂ってしまいます。日本独自の基軸はないのですから当然です。
強烈なおまけもあります。アメリカは鉄鋼とアルミに高率の関税をかけて国内産業を守る決定をしました。日本は除外されませんでした。
アメリカに忠誠を誓いこれだけ尽くしているのに一体どういうことだとこちらも怒りをぶちまけるのがせいぜいです。踏んだり蹴ったり状況です。
日本外交の思考停止が長らく続いてしまった弊害は極めて大きいと言わざるを得ません。これこそ、外交における日本の危機の本質です。