(酒匂川 出典 ウィキペディア)

「富士山と酒匂川 噴火と減災を考える会」で富士山を源流とする酒匂川流域の自治体のうち神奈川県内の自治体から治水を中心にヒアリングを実施してます。

私は、神奈川県内の最上流部に位置し源流の一つである丹沢山を抱える山北町と中流域の大井町を訪問しました。いずれも町長が面談に応じてくれました。

決断を下す権限を持っているトップと話すことができると話が明快になります。今後の判断を伺ってもある程度の方向性を即座に聞くことができるからです。

逆に言えばトップに聞いても意味不明で担当者に聞いたほうが方向性が見えるようではトップの役割を果たしていないということとになります。

その点、大井町の間宮町長は明快でした。8月に黒岩神奈川県知事と足柄地域の首長との懇談会があるので問題提起してみると回答してくれました。

酒匂川は上流部からの土砂の流出で中流部下流部で河床が上がっていて土砂の搬出が課題となっています。スコリアと呼ばれる噴火の砂が特に難物です。

2010年9月の記録的集中豪雨の際には黒い砂がぼた山のように下流部で堆積しました。上流部の流出防止対策は道半ばですので流出は止まりません。

1707年の富士山噴火時の砂の堆積量は膨大で山林の下に眠っています。流域全体で抜本的対策を考え実行しなければなりません。

しかし砂防対策には費用もかさみ、流出してしまった土砂の管理は簡単には進みません。再び集中豪雨が襲うと非常事態も想定されます。

源流の水量のおよそ三分の二は静岡県にあり神奈川県側は三分の一です。神奈川県側にはダムがあり治水管理ができる体制にあります。

静岡県からみると酒匂川の上流部分は県の東のはずれにあり河川の名称も鮎沢川と異なっています。管理の優先度を上げろと言うのは無理があります。

このような悪条件が重なり酒匂川全体としての統一的な管理体制をとりにくい現状が続いてしまっていると思います。私たち減災会では国の出番と考えています。

神奈川県側の源流域である山北町の湯川町長は、自ら体験した土砂崩れ対応から国の関与を高めるべきだと強く主張していました。

山北町も2010年9月の集中豪雨では激甚災害の指定を受けました。国が対応すべき保安林指定個所は迅速な復旧策が進んだと述懐してました。

次いで神奈川県の県道に影響が出る箇所の復旧が進み町が管理する支線には手が回らないのが実情であったと率直に話していました。

人員、財力に格差があるのでこれは致し方ありません。この体験から国の関与を高める必要があるとの結論につながったと思います。

中山間地の山北町には急傾斜の危険個所として指定されている場所が500か所に上るということです。こうなりますと平等に対応するのは困難です。

優先度を決めて対応し重要個所は国や県に対応策を依頼するしか方法はありません。山を抱え治水が難しい町のトップの大変さを感じました。

二つの県にまたがっていながら国の関与がなく河川の整備と管理を続けるのは限界と思わざるを得ませんでした。地域の首長とともに声をあげて行きます。