訪中報告4~中国の高齢者福祉、人材確保と教育が決めて~
何事も事業を興すには人材が最も大切であることはいずこの国も同じです。優れた人材を確保しその技量を磨くことが事業の成功を導きます。
旭東ダイカストグループは、今後急速な少子高齢化が進展するとみられる中国で高齢者福祉事業に乗り出す決断を下しました。
浙江省寧波市寧海県橋頭胡街道の古い商店街に交差点の角に立つ商業施設の2階部分を全面改装してデイサービスができる拠点にリニューアルしました。
昨年8月に河南省安陽市の開発区域にある豪勢な福祉施設を見たばかりですので立地条件と施設の規模のあまりの違いに驚きました。
そもそもコンセプトが違うのです。旭東ダイカストの山森一男会長の発想は高齢者福祉事業は庶民のためにあるべきだとの考えで豪華さとは距離を置いています。
豪華な施設は介護保険制度を始め高齢者福祉に関する社会保障制度が充実していない中国にあって利用料金に跳ね返り高額所得者のための施設になります。
利用料金を抑えて多くの高齢者が利用できるようにすることが望ましいです。このため商業施設のリニューアルという手法をとりました。
しかし充実したサービスを展開するには何といっても鍛錬された人材がいなくては始まりません。中国では高齢者福祉分野の人材育成はまだまだです。
山森会長は日本のスポーツ施設でトレーナーをしていた優秀な女性をスカウトしました。陳利さんという方です。素晴らしい人材でした。
上海出身の元中国代表のバスケットボールの選手でした。高校生の時に日本に試合に行ってから日本に興味を持ち東京学芸大学に留学の経験を持ちます。
日本のスポーツ施設で働いていた時に山森会長の奥さんを生徒として指導したのが縁で旭東ダイカストグループの高齢者福祉事業の責任者に抜擢されました。
日本がとても上手で受け答えも真心がこもっていて接した人すべてが好感を持つタイプの女性でした。人間関係が濃密な職場にうってつけのリーダーでした。
旭東ダイカストグループの高齢者福祉事業は始まったばかりです。陳さんがいくら優れていてもスタッフは追いつけませんので今は大変な時期です。
現在はデイサービス事業を小規模に実施しているだけですので何とかこなせているのが実情だと思います。一足飛びに事業規模拡大とはいかないでしょう。
昼食は利用者に160円ほどで提供していました。私もいただきましたが味は良かったです。ゆったりテレビを見れるリビングルームは快適でした。
様々なゲームや学習ができる部屋も整えられていました。山森会長はここで日本の生け花やお茶、手芸などを展開したいと考えています。
今回の訪中で生け花の指導者や紙粘土作家が同行したのは、ためににやってみて中国の方の反応を伺うためでした。皆さん興味津々だったとのことでした。
利用者が利用しやすい商店街の一角に小さな高齢者福祉の拠点を設けて成功実例を創り出し、そこから徐々に拡大していくという手法は着実です。
財務は、旭東ダイカストグループと行政の支援がありますので当面は乗り切れます。今後の飛躍のカギを握るのはスタッフの充実と技能の向上だと思いました。