治水神・禹王研究の未来展望。
1週間前の金曜日、13日に京都の立命館大学歴史都市防災研究所で治水神・禹王研究会の第5回総会があり参加しました。
過去4回毎年京都の佛教大学で開催されました。治水神・禹王研究をリードしている植村善博さんの勤務先が佛教大学であったためです。
昨年定年退官され名誉教授となられ立命館大学歴史都市防災研究所の客員研究員に就任された関係で今年も京都での開催となりました。
日本で禹王が祀られたとされる最古の記録は京都鴨川べりに建てられた禹王廟ですので京都とはきわめて因縁が深いので京都開催はぴったりです。
今回の治水神・禹王研究会のハイライトは、研究所の1階ホールで開催されている「日本の禹王遺跡と治水神・禹王信仰展」です。
これまでの研究成果が網羅され、わかりやすく展示されています。禹王に関心がある方にとっては必見です。京都観光と合わせおすすめです。
土日が閉館で平日のみというのが残念ですが金曜日に出かけ土日は京都観光というコースでいかがでしょうか。6月16日までです。
素晴らしい展示ができたのは理由があります。研究をリードしてこられた佛教大学名誉教授の植村善博さんと研究会会長の大脇良夫さんの多額の寄付です。
文化行事の場合は、財務がいつも悩みの種です。お2人が大枚をポンと出されたことでその心配が吹き飛びました。とてつもなく大きな貢献です。
続くのは内容の充実です。植村門下生の若手の研究者ら3人の奮闘がありました。コンピューターを使った三次元画像展示もありました。
展示作品や禹王研究のこれまでのポイントを紹介するパンフレットも秀逸です。若い力がその実力を大いに発揮したのではないかと思います。
中国の研究グループからの研究成果の発表展示もありました。禹王の終焉の地である浙江省紹興市の禹王遺跡98か所が地図で紹介されていました。
中国では紹興市だけで100か所になんなんとする遺跡があるのですから全土に広げたらいったい何か所あるのだろうと驚きます。
中国における禹王の存在感がひしひしと伝わってきます。日本におけるそれと比べると格差はあまりに大きいと言わざるを得ません。
日本で禹王に関心を持つ人は残念ながら超少数派です。学会において研究対象として認知してもらうのは至難というのが実態です。
中国における禹王の絶対的存在感を活用したらどうかと思います。中国の研究者にもっと日本の禹王に目を向けてもらうことです。
研究交流を進めて日本の禹王の存在を中国の研究者に認知してもらうことが先決だと思いました。双方の遺跡に比較研究へと発展します。
双方の研究成果を翻訳して相互の交流を深めることになればそれは研究の範囲を超えて双方の地域間交流へと広がる可能性が大きくなります。
文化観光へと発展して双方の地域のまちづくりにプラスとなります。特に激増する中国人観光客に日本の禹王遺跡をじっくり見てもらいたいです。
治水神・禹王研究の日本における存在感は現状では極めて小さいですがその発展可能性は大きいと思います。希望を大きく持って進んでもらいたいです。