プリウスとクラウン

今年1月5日の神奈川県開成町の賀詞交換会での府川裕一町長の年頭あいさつが信号を設置などという自治会レベルの話題に終始したことに苦言を呈しました。

一方、茅沼隆文町議会議長は周辺市町の合併の動向に触れ開成町の進路に言及したことを評価しました。議長のあいさつの方に志の高さを感じたからです。

4月茅沼議長が女性団体の総会であいさつに立ち資金の開成町は東京などから帰ってくるとホッとする雰囲気があると語ったということです。

10年前はそういった雰囲気はなかったと付け加えたということです。私の時代の町政と比較して府川町政が順調に推移していると言いたかったのでしょう。

1月時点と4月の時のあいさつに落差を感じました。背景に何かあったのか調べました。そういうことなのかもしれないと思いあたる出来事がありました。

開成町は新年度の予算に議長が使う公用車を新車にする予算を盛り込みました。トヨタの高級車のクラウンで480万円程度を予定しているとのことです。

先に副町長を解任された小澤均前副町長は、町長車がトヨタのプリウスである以上同じ程度の予算280万円程度が妥当だと裁定していたということです。

ところが、最終決裁者の府川町長の査定でとクラウンに格上げとなりました。茅沼議長が町長に直談判したとの話が伝わっています。

茅沼議長がクラウンにこだわる背景には今年神奈川県の町村議長会の会長に就任することが内定している事情があると見るのは常識的見方です。

県庁所在地の横浜で会議が頻繁にありますので乗車する車としてはクラウンとプリウスでは比べ物にならないからです。見栄えも良いですし。

予算額の差としては200万円です。たかが200万円と取るのか、されど200万円と取るのかこの違いによって対応が異なってきます。

私が町長の時代に町長車をクラウンからプリウスにしました。当時の町長の政策担当秘書が環境重視の姿勢を示すのに適当だとの進言を受け入れました。

町長がプリウスを町長車に選択したということは、町長が高級車に乗らず自らを律している姿勢を内外に示すことにもつながります。

府川町長はクラウンを選びました。理由は議長に対する特別の配慮だったと推測します。ただ、税金による配慮です。読者の皆さんはどう受け止められますか。

私は、プリウスからクラウンへ査定を切り替えた町長の判断には議会を取り込みたいとの自らの欲望が優先されていて高い志が感じられないと思います。

些細な細部に政治家としての本質が現れるものです。議長が使用する車の選択一つに町の姿勢を込めようとの姿勢が見えないのは残念でなりません。

町長車も議長車も同様にプリウスの方が環境と共生するまちづくり、自らを厳しく律する政治姿勢をより強調することになると思わなかったのでしょうか。

府川町長が悩んだ形跡はありません。前副町長との間で議論を戦わせることなくクラウンに決定したのですから。税金を使っての議会対策だと私は思います。

 

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