(画像はウィキペディアより)

今月12日で中国・四川省の大地震から10年。死者・行方不明者8万7千人という大災害の復興事業に1人の日本人女性研究者が関わっていました。

中央大学理工学部教授の石川幹子さんです。震災直後に中国当局は復興グランドデザインの公募をしました。当時東京大学の教授だった石川さんは応募しました。

結果は採択。しかし理由は不明ですが採択後は何の連絡もなくそのまま推移しました。石川さんは詳細な現地調査を行ったうえでの提案でした。

昨年末になってから再びメールで連絡が入り石川さんは改めて提案を中国側に説明しました。石川案に沿って復興が進められることになったというのです。

昨年12月18日の毎日新聞紙上で特別編集委員の山田孝男さんが的確にまとめたコラムを執筆しています。山田さんは習近平政権の方針の変化を読み取ってます。

石川さんが提案した復興計画は、世界文化遺産になっている水利施設の都江堰(とこうえん)の所在地、都江堰市周辺の農村地帯を含めた内容に特色があります。

水利施設は都市部の住民を潤すだけではなく周辺の農村部の農業の基盤となっており水利を守っているのは林盤(りんぱん)と呼ばれる農村集落です。

石川さんはこの農村景観を維持しつつ復興をすることを主張しました。およそ800ヘクタールの地域をモデル事業として取り組むことを求めました。

林盤という言葉は聞きなれませんが中国の農村を見たことがある人ならピンときます。林があってその中に小さな集落が点在している風景です。

石川さんは水系全体を視野に入れてその景観を維持するための施策を盛り込んで復興としているのです。景観丸ごとを復興とする視点が新鮮です。

放置されたままになった石川案を採択したということは習近平政権が農村の振興を国家の重大政策として掲げていることの反映だと山田さんは見てます。

昨日、全国日中友好協会の機関紙の編集担当者とともに東京ドームの近くにある中央大学理工学部を訪ね石川幹子教授をインタビューしました。

あっというまに話しは2時間近くとなりました。私は水系全体を捉えて自然の景観を残す都市計画をまとめるという発想に感嘆しました。

都市部だけを切り取って復興と称しても周辺の農村地帯を置き去りにしてしまえばいずれ地域全体が衰退します。農村人口が都市へとなだれ込むだけですから。

石川教授によれば中国でも農村の衰退は著しく今待ったをかけないと危険だと強調していました。習近平政権も危機感を持っているのだと推測します。

最後に石川教授に私が町長を務めた開成町の景観重視のまちづくりを紹介しました。石川教授は専門家らしく土地利用計画の徹底に関心を示しました。

特に結果として人口増をもたらしていることには驚いてました。開成町のまちづくりについても的確な助言がもらえそうです。

私も中国・浙江省寧波市郊外でのまちづくりにかかわりを持ち始めたところです。こちらの方面でも大きな力になってもらえると直感しました。