歴史的米朝会談への私独自の見方

史上初の米朝会談、加熱する取材陣の取材のあり様と比較すると成果の乏しさが気になります。朝鮮半島からの核の廃棄を始め具体策は全てこれからです。

激しく対立していた当事者同士が直接会談する場を持ったことは大きな前進だとは思います。ただほんの一歩を踏み出したのに過ぎません。

経済力で言えば比較することのできないほどの落差があるアメリカに対し対等に渡り合う北朝鮮という国の存在は強く印象付けられました。

長距離の核弾道ミサイル開発という禁じ手に手を付け推進し続けて、ある程度のめどがついたらそれをてこにアメリカと交渉するという離れ業です。

しかし国際世界が容認しなければ北朝鮮が離れ業を展開することはできなかったはずです。世界の際あ強国アメリカ自身の責任でもあります。

トランプ大統領はアメリカの身から出た錆ともいえる北朝鮮の曲芸のような核弾道ミサイル外交と向き合う羽目になったということです。

政府部内の慎重論を越えて歴史的階段に踏み切ったのはトランプ大統領の功名心と秋にある中間選挙のゆく屁を意識したとの解説が説得力があると私は思います。

会談後のトランプ大統領の映像を見ていてある光景がダブりました。いつかどこかで同じようなことがあり実際に見たことがあるという感覚です。

フランス語でいうところのデ・ジャブ、既視感です。1990年9月の自民党の金丸信氏による北朝鮮訪問より始まった一連の出来事とダブったのです。

当時自民党の最高実力者であった金丸氏は盟友であった社会党の実力者、田辺誠氏のパイプを通じて訪朝し北朝鮮の最高権力者の金日成主席と会談しました。

北朝鮮側から国交正常化交渉が持ちかけられて金丸氏はそれを受けました。金丸氏の訪朝には反対意見がありました。金丸氏の権勢の前には逆らえませんでした。

訪朝から帰国直後から反発が噴き出しました。韓国、アメリカ、そして日本の保守派です。金丸氏は直ちに韓国を訪問し釈明したほどでした。

この辺りから金丸氏の転落のスピードの速さは誰をもあ然とせせました。1992年8月佐川急便からの5億円の闇献金が発覚し翌年脱税で逮捕されました。

もちろん政界は引退を余儀なくされました。あれだけの権勢を誇った政治家が北朝鮮外交でとん挫したことから一気呵成でした。

トランプ大統領も相当の力技で今回の歴史的な階段に踏み切ったことは間違いないでしょう。反対勢力から批判の声が浴びせらえるのはこれからが本番です。

金丸氏のパターンは、そうこうしているうちに衝撃的なスキャンダルに巻き込まれて刑事訴追を受け政界の地位を逸するというものでした。

トランプ大統領も同様の道のりを絶対に歩まないという保証はありません。トランプ大統領が揺らぐことは朝鮮半島情勢が再び緊張するということです。

歴史的会談が終わり緊張緩和へと着実に進むと楽観視することはいかがかと私は思います。何が起こるかわからないと見て置くほうが賢明だと思います。