緑と共存し斜面を守るフォレストベンチ工法。

昨日、東京永田町の都道府県会館でフォレストベンチ研究会の総会がありました。私もメンバーの一人として参加しました。

フォレストベンチとは斜面を段々畑のように削り、ネットで斜面の崩落を防止し、そのネットが崩れるのをアンカーで固定する工法です。

特色は、段々に樹木を植えて元通りの山林であるかのような景観を取り戻すことにあります。ネットとともに柵を作り間伐材の活用もできます。

関係者は景観と崩落防止の一挙両得だと自信を持ってます。維持管理費を含めた施工費はコンクリート広報に比較して25パーセント軽減できるとしてます。

この優れた工法がなかなか広まりません。国土交通省を始め行政や土木工事会社のコンクリート信仰が強固であることが第一の原因です。

総会では、「森は海の恋人」というおしゃれなキャッチコピーを広められた畠山重篤さんが講話しました。畠山さんは研究会の理事でもあります。

畠山さんは自ら著した2冊の子供向けの本を紹介されました。『フェルムはまほうつかい』という絵本と『人の心に木を植える』という物語です。

フェルムとは鉄のことです。地球を構成する重要な要素に鉄があるということは見落としがちです。植物の光合成にも鉄分は欠かせないということでした。

植物は海でも育ちます。海の鉄分を豊富にしませんと海藻類は育たないことになります。元は山林にあるのです。山も守ることの大切さひしひしと感じました。

もう一冊も、鉄の話しが満載です。3・11、東日本大震災の津波の話もあります。そして最後はアメリカのニューヨークの話しです。

自由の女神があるあたり一帯の海はかつてカキの宝庫だったというのです。しかし人口が集中し人間の排せつ物が捨てられ汚染され養殖ができなくなりました。

それ以来ニューヨークの一帯はカキと無縁の地域となりました。海の豊かさが人間によって破壊された一例です。目からうろこの話しでした。

3・11の巨大津波によって東北の太平洋岸一帯は破壊されました。その後津波に備えるということで至る所でコンクリートの防潮堤が建設されてます。

コンクリートで絶対に守れるという保証はないし自然景観を壊してしまうと反対している僧侶の方も講和しました講話されました。

緑の防潮堤ということで一部の海岸でがれきを埋めてマウンドを作りその上に樹木を植える活動が2013年から続き30万本が植えられたと報告してました。

3・11の被害を見れば何より大切なことは逃げる対策がいの一番です。莫大な費用で投じてコンクリートの防潮堤ありきには首をかしげます。

研究会の顧問の村井俊治東大名誉教授は逃げるための道路を造るべきだと訴えてました。高齢化が進み歩いて逃げろというだけでは無責任だと話してました。

昨年8月山梨県大月市内の中日本高速道路会社の保有の山林の斜面で土砂崩れがありその後の処置としてコンクリートで表面を固めたとの報告がありました。

現場は富士山を源流とする桂川の流域です。コンクリート信仰の根強さには驚きます。緑と共存するフォレストベンチ工法を広める必要があると痛感しました。