故郷自慢で日中友好へ。
昨日、日本で最もよく中国を知る経済人のお一人だと思われる方と懇談する機会がありました。元上海三井物産社長で森ビル特別顧問の星屋秀幸さんです。
(森ビルHPより)
中国一の国際都市上海の都市づくりに関わられ地上101階、高さ492メートルの森ビル建設の立役者です。私も3月の訪中の時に展望台に上りました。
雑居している都市を洗練化させるためには上に建物を伸ばすしかなく希望する住民に高層ビルに移ってもらうことで地上には快適な空間が生まれます。
森ビルではこうした考え方に基づいて六本木ヒルズをはじめとする東京の都市開発を進め、その考え方を中国でも応用して進めたということでした。
星屋さんは、これまでの豊富な中国の人脈を活かして中国と岐阜県や徳島県や三重県の各地域との観光交流を進めるお手伝いをしています。
森ビルの社員旅行と結び付けて日本の各地域に残る文化を学ぶ形で国際観光を進める手法をとっています。本当の観光の在り方です。
その星屋さんが興味深い一言を発していました。日本と中国の若者たちが故郷自慢で競争して互いを知ることことが友好に役立つと言われていました。
中国の若者は反日教育を受けています。日本では中国に対する国民意識は芳しいものではありません。大半の方が嫌いな国に挙げています。
こうした状況下でお互いが国の在り方を言い合っては対立は深まる一方です。そもそも国の体制が違い過ぎますので理解しあえません。
しかし互いの出身地の名物とか景色とか祭りとかを自慢しあった場合はどうでしょうか。国の在り方について言い合うようなことにはならないでしょう。
同じお国自慢でも故郷という意味のお国自慢です。逆に大いに進めることが互いの地域の文化を理解することにつながる可能性は大きいです。
星屋さんから今年の6月10日付の東京新聞の社説のコピーをいただきました。「日中『愛郷主義』の勧め」というタイトルでした。
星屋さんの故郷自慢の観光交流を論評する記事でした。中国の若者の日本に対する歪んだ見方を修正するきっかけになります。
また一方で日本の若者にとっては現代中国のネット社会の目を見張るような発展ぶりを見ることを通じて現代中国の現実を知ることになります。
星屋さんのお話を伺っていてある言葉がぱっと浮かびました。「愛郷無限」という言葉です。元自民党幹事長などを務められた故梶山静六先生の言葉です。
NHK記者時代、町長時代を通じて大変に薫陶を受けた方です。梶山先生は、政治は、故郷をこよなく愛することから始まるという哲学の持ち主でした。
まちづくりも政治によって創られます。リーダーすなわち首長が故郷を愛し、自慢の種になるような地域資源をどんどん育てていくことです。
そして中国の特に若者との交流を仕掛けて互いの地域の自慢をしあうことにより双方の文化に対する理解は、格段に深まるはずです。
「愛郷」などというと民族派のスローガンのように聞こえますが決してそうではありません。新しい時代の日中関係を築くための旗印です。