元首長の視点から見た西野采配2。
サッカー日本代表の奮闘を称えたいです。しかしポーランド戦残り10分の大ブーイングを完全に拭い去るだけの戦いを見せられたかどうかは微妙です。
一昨日のブログでポーランド戦の西野采配についてまるで人工知能のような采配だと感想を書きました。確率のみに特化した采配だったからです。
一次リーグ突破をするためには批判の嵐とか世情の話しは度外視して最も確率の高い戦法を選びました。ゼロ対一のまま負けることでした。
終盤には温存していた長谷部キャプテンを投入しました。西野監督の判断を徹底させるためでした。チーム全体に指示がいきわたりました。
さてベルギー戦です。日本は前半をゼロ対ゼロで折り返し後半10分間で2得点を挙げるという奇跡のドラマを期待させる戦いぶりを見せました。
原口選手、乾選手のゴールは素晴らしかったです。特に乾選手のボールが全く回転しないシュートの芸術性は世界に技量の高さを見せつけたように思いました。
ゲームは、後半20分過ぎから赤い悪魔と言われるどでかいベルギー選手が襲い掛かってきて遂に同点にされ、終了間際に逆転されました。
一次リーグ最終戦で人工知能的采配で決勝リーグ進出を決めた西野監督はなぜ奇跡のドラマを演出できなかったのでしょうか。
前回のブログで私は一次リーグを突破できなかった際に浴びせられる猛然たる批判の嵐の恐怖を超えられたのは「確信」だとの見立てを書きました。
決勝トーナメントで日本の良さを存分に見せつけられる見通しに対する確信があるからこそポーランド戦で平然と敗戦を受け入れる決断ができたと思いました。
ベルギー戦は、西野監督の見通しを実証する場です。そして世界を納得させる場でもあります。大ブーイングは称賛に変化するはずでした。
ある程度は目論み通り展開したと言えます。しかし最終的には敗れました。日本の戦いぶりに対する海外の評価は高いとはいえ絶賛まではいきません。
西野監督に足らなかったのは狂気ではないでしょうか。人工知能の判断を超えるには狂わなければなりません。しかも冷静に狂うことです。
アッと驚く歴史の大活劇は狂気の味付けが必要だと思います。確率を超えた何かを導き出すためには狂気の味付けが利かなければならなかったと思います。
私はサッカーは素人ですので細かい戦術は不案内です。あくまでも元首長として見た、試合展開のコントロールに照準を合わせて語ります。
2対ゼロになった後、方針を徹底させるための冷静な狂気が欲しかったです。ポーランド戦の最終盤に長谷部選手を投入したような。
徹底攻撃かあるいは徹底守備か。方針をシンプルに示す指示が必要だったと思います。その後の戦い方が中途半端に終わってしまったのではないでしょうか。
例えば2対ゼロとなった直後に本田選手を投入したとしたらチーム全体に引くな!、攻め続けろ!という監督の意思を徹底できたいのではないでしょうか。
常識を超える一手が欲しかったです。結果はわかりません。きっと西野監督は、大ブーイングを超え世界を酔わせる監督であることを示せたはずです。