この手の不祥事の源泉を探る。

大災害や大事故の際のトップの立ち振る舞いがまたもや批判に晒されています。西日本一帯を襲った未曽有の集中豪雨が迫るさなかに宴会をしてました。

山口県が選挙区の安倍総理大臣、最も被害が大きかった広島県が選挙区の自民党の岸田政務調査会長が宴会の主役でした。

少なくとも自宅待機です。場合によってはいつでも陣頭指揮がとれるように公邸に居て刻々と入ってくる情報を受けるのが本来です。

総理大臣、最大与党の政策責任者としての自覚という意味で大きな問題があったと思います。出足でつまづくと後で無理が出てきます。

もうすでに急きょ岡山県の被災地に視察に入ったり予定していた外遊を取りやめたりといったドタバタが発生してしまっています、

何でこうした事態が発生するのかを考えなければなりません。根本は、総理大臣とは何か、自民党の政策責任者とは何かの自覚です。

自らの力で権力の座にのし上がったという意識を持っている限りこの手の過ちはしばしば起こりえます。自分の思うようになると勘違いするからです。

そうではなく国民のために尽くす使命があって天から地位を与えられているという意識を持てば軽はずみな行動はあり得ません。

もう一つ、ふるさと意識も問題です。選挙区が地方といっても実際育ったのが東京である政治家が増えています。二世、三世議員の皆さんです。

安倍総理は典型です。岸田政務調査会長もその一人です。選挙区を故郷だと本当に実感していたら宴会なんてできやしません。

これまでに経験したことの無い大雨などと警告されたら家族は大丈夫だろうか地域はどうだろうかと気が気ではないはずです。

お2人ともそうではありませんでした。今現在選挙区となっている地域の景観や人情が故郷として自らの血となり肉となっていないことの証です。

それにしても宴会を止めろと一喝する人物がいないのが不幸です。適任者が二人います。一人は自民党の二階幹事長です。

少なくとも岸田政務調査会長を呼んでどやしつけるぐらいの芸当は可能です。しかし二階幹事長は一連の行動を容認しています。

こうした対応をとる手がかりは二階幹事長が代議士の秘書出身だという経歴にあると思います。決して主従の関係を決定的に崩すことはしません。

主従関係の中で最大限に自らの力を発揮できるよう一寸先は闇の政界を泳ぎ切り今日の地位を占めました。壊したくはないでしょう。

もうお一人は菅官房長官です。内閣の要の立場から安倍総理に直言が可能です。菅官房長官もそうした対応をとりませんでしたし擁護しています。

菅官房長官は政権に歯向かう人物には徹底して攻撃を加えるこわもてだと見られています。しかし安倍総理大臣に対しては仕える立場を堅持します。

菅官房長官も代議士秘書から今日の地位を得た政治家です。主従関係を超えて天下国家のための諫言という立ち回りは苦手なのだと思います。

安倍総理大臣の一強体制はもろさを持っていると言わざるを得ません。直言する人材が見当たらないからです。結果としてこの手の不祥事は防げません。