大学生に学ぶまちづくり2
日本大学の危機管理学部とスポーツ科学部の学生は1、2年生です。神奈川大学法学部は3、4年生です。
理想の首長について記述させるのは共通ですが神奈川大学はそれに加えまちづくりについて問いました。
神奈川県開成町のまちづくりと少子・高齢化について記述するのと独自で国内外のまちづくりを調べ記述するようにしました。
単位をとるには講義で詳述した開成町のまちづくりを選択したほうが学生にとっては楽です。
ところが自ら調べ問題提起するレポートが相当数みられました。内容が充実しているものが多かったです。
私も現場を離れて8年目になります。いささか焼きが回ってきていることを思い知らされました。
インターネットなどを通じ全国各地の特色あるまちづくりはある程度は把握しているつもりでした。
ところが学生のレポートで全く知らない地域のまちづくりが成功していることを気づかされました。
外国の実例を調査し日本との比較の中で問題提起しているレポートもあり、思わず熟読させられました。
現場を担っているときは特色あるまちづくりをしれば真剣にチェックしました。そのマインドが薄れていました。
学生のレポートを読みながら国内外を問わず私のリサーチが緩くなっていることを思い知らされました。
ベルギーのメヘレンという都市のまちづくりから現代のまちづくりの課題を問うレポートがありました。
人口8万人で3割がイスラム系の住民という構成です。炭鉱の町でしたが閉鎖となったことから治安が悪化しました。
ベルギー国内で最悪のまちと評されるようになったということです。メヘレンは、この最悪状況を克服しました。
1990年代はニューヨークの治安方策を取り入れて防犯カメラの設置など治安の安定に力を注ぎました。
一方で移民の孤立化を防止するために「バディ制度」という独自の制度を創設しました。
これは新たに移住してきた移民に対し地元の住民が一対一で向き合いコミュニケーションをとる仕組みです。
家族ぐるみでお付き合いをしているうちに言葉や慣習を自然な形で身に着けて行くことになります。
イスラム過激派がメヘレンに入り込もうとしてきたときにはバディ制度が防波堤になったということです。
日本国内でも外国人が多く住む地域があります。学生はメヘレンのような交流ができているのでしょうかと問います。
外国人が多い埼玉県川口市のあるまちとメヘレンを比較し、理解するために歩みよっているか否かが違いだと指摘してます。
今後の地方自治体の任務として外国人の住民をどのように支援するかが大きな課題だとしています。
人口減少で働く世代が減り続ける日本は、外国人労働者や移民の問題と真正面から向き合わざるを得ません。
地域に居住しているのに交流せずに無関係な集団のように対応することはまちのなかに別の街が形成されるのと同様です。
壁を取り払い交流する仕組みをどう作るかが現代日本の課題だということを鋭く問いかけるレポートでした。