翁長知事の遺志を継ぐ。
翁長知事の死去を受けて30日に投開票が行われる沖縄県知事選挙、沖縄の進路が決まる選挙です。
最大の争点は翁長知事の意志を受け継ぐのか否かです。どう考えても他の争点はあり得ません。
このところの沖縄県の地方選挙では自民、公明両党が基地問題を争点せずに他の地域課題を掲げる選挙を続けてきました。
2月の名護市長選挙ではこの方針のもとにきめ細かなどぶ板選挙の徹底で移設反対派の市長を破りました。
県知事選挙でも、自民、公明両党はこうした選挙手法を押し進めてくるのではないかと見られました。
しかし、こうした思惑をすべて吹き飛ばしてしまったのが翁長知事でした。自らの身体を天に捧げて勝負に出ました。
先月8日、すい臓がんのため急死されました。意識がある限り辺野古基地の行く末を案じていたといわれます。
あらゆる手段を講じて辺野古の新基地建設の反対を貫く考えでした。遺志を受けて沖縄県は行動に出ました。
8月31日遂に沖縄県の埋め立て承認を撤回したと発表しました。これで工事は中断することになりました。
一連の行動は、この世にはもはや存在しない翁長知事の強い遺志が促したとしか言いようがありません。
翁長知事の後継問題も翁長知事の遺志が一気呵成に決着へと導きました。後継者を語っていました。
通常ならば後継を巡ってごたごたする場合もよくある話です。しかし沖縄県知事選挙はありませんでした。
この世に存在しない翁長知事があらゆる行動を導いています。対立を超えて団結を促しています。
翁長知事の意志は沖縄県内を超えて全国に強い波動となって伝わっているように思います。
今月6日東京文教区民センターで開催された集会の会場は超満員でした。300人をはるかに超えていました。
知人でもある琉球大学教授の島袋純さんが沖縄の自己決定権を強調してました。大切なことを自分たちで決めるということです。
翁長知事も、(主義主張の)イデオロギーではなく(沖縄の存在意義をかけた)アイデンティティーの問題だと述べています。
本土の政策決定に翻弄され続けてきた沖縄人の誇り、怒り、悲しみが在日米軍基地の移設を阻止する原動力ということです。
那覇市議会議員を務めている翁長知事の次男に対し翁長知事が幾度となく語っていた言葉があります。
「沖縄は試練の連続だ。しかし、一度もウチナーンチュとしての誇りを捨てることなく闘い続けてきた。ウチナーンチュが心を一つにして闘うときにはおまえが想像するよりもはるかに大きな力になる」
いわば翁長知事の遺言です。遺言のように想像を超える大きな力になれるかどうかの結果は30日に出ます。
翁長知事を支援する保守と革新勢力が一体となった「オール沖縄」体制は、明らかに揺らいでいました。
翁長知事の死によってふたたびタガが締め直された格好ですが楽観視は全くできません。
翁長知事の意志を継承することを明確にした候補が勝利するとすれば奇跡的な出来事、事件だと言えると思います。