橋下徹さんの再登場の前触れか。

昨日、時間ができたので東京新宿の紀伊国屋書店に寄りました。新刊本のコーナーに積まれていた一冊の本が気になりました。

「大阪都構想」で地方政治、国政を問わず一時期話題を独占した橋下徹さんが新書を出してました。

久しく表舞台に出ていなかったようなので驚きを持って新書を手に取ってみました。

タイトルがどぎついです。『政権奪取論』、副題が「強い野党の作り方」となってました。朝日新書です。

朝日新聞系列の出版社が橋下徹さんの政治姿勢をアピールする本を出版するんだという意外感も持ちました。

表紙には「きれいごと無用。政治の本質は敵との対立だ。」と橋下さんの政治哲学が書かれてました。

「強い野党」を作ることの意義を強調してます。では「強い」とは何なのかが問題となります。

橋下さんが言いたいのは既存の野党勢力の統合ではなく確固たる理念に基づいた勢力を創り出すことだと推測します。

産経新聞が発行している保守系の月刊誌『正論』10月号にも橋下徹さんが登場していました。

「安倍さんさあ憲法改正でしょ」と大きな赤字で書かれていました。論者は弁護士橋下徹となってました。

朝日新書と雑誌『正論』の最新号を合わせて考えてみると橋下さんが目指したい方向がおぼろげながら見えてきます。

「憲法改正」という確固たる指針を持って臨む政党を作ろうとしているのではないかと思います。

もちろん「憲法改正」だけではないでしょう。中心となる指針が「憲法改正」ということです。

そのためのカリスマリーダーとして自ら名乗り出る意思があるかどうかは明確ではありません。

橋下さんのこれまでの言動から判断するとリベラルではあり得ません。タカ派的勢力の結集であることは間違いありません。

もし仮にこうした動きが本格化すると日本の政局は激動します。日本で初めて本格的タカ派野党が誕生するからです。

安倍一強政治と弱小野党の戦いという構図を安倍政治をさらに先鋭化させる勢力の誕生により一変させる可能性があります。

日本の政治全体に蔓延する右傾化の状況を劇的に進める土俵ができることにつながるとみます。

タカ派野党は中国との対立を煽る可能性が強いです。米中対立の構造の中で一方に偏することになります。

日本としては危険な罠にはまることになりかねません。アメリカに全く逆らえない状況が一段と強まります。

アメリカは経済問題では容赦しません。貿易赤字の解消に向けて過大な要求を突き付けてくるでしょう。

タカ派野党とともに走り出してしまったら後戻りはできません。走り出す前でとどまるしかありません。

来年の統一地方選挙、その後の参議院選挙の時点でタカ派野党の誕生なるかは見通せません。

しかし、タカ派野党を期待する層の厚みは増しているように思います。橋下氏が登場すれば火がつく可能性はあります。

日本政治において民主・リベラル勢力が生き残り、右傾化状況を阻止する勢力となれるのかどうか正念場を迎えます。