世界を視野にした骨太の議論が不足した自民党総裁選挙。

自民党の総裁選挙が終わりました。予想通り安倍総理の3選でした。ただ、石破元幹事長は善戦しました。

戦前の予想では、安倍総理のトリプルスコアかと思われるほど勢いは安倍総理側にあると見られてました。

ふたを開けてみると553票対254でした。国会議員票は329票対73票で比較にならない大差です。

しかし党員票は224票対181票でかなりの接近戦となりました。国会議員票との大きな違いです。

党員は一般国民により近い存在と見てよいでしょう。ですので国民の意思に近いと言えます。

安倍総理の3選にもろ手を挙げて賛成とは言えない国民の空気感を示していると見ることができます。

総裁選挙前の14日、毎日新聞に注目すべき論評が掲載されてました。論評の主は政界を引退した亀井静香さんでした。

「首相が圧勝で3選となったら、自民党の終わりの始まりだ。」と一刀両断でした。

亀井さんのようにし烈な派閥抗争を潜り抜けてきた闘士の眼から見れば党内で戦えない政党は政党でないということです。

「禅譲はあり得ない。岸田文雄政調会長は良い人だが、その芽は消えた。野田聖子総務相もだ。」

「小泉進次郎筆頭幹事長もこのままだと『青立ち枯れ(青いまま枯れる)』するだろう。」

「そういう中でひょっとすると二階俊博幹事長のような「古木」が出てくるかもしれない。」

石破元幹事長は結果として善戦したので安倍総理の圧勝ということにはなりませんでした。

亀井さん流の見方をすれば自民党は何とか首の皮一枚つながったということになるのでしょう。

亀井静香さんがここまで自民党に対し厳しい見方をするのには亀井さんなりの現状分析があります。

安倍政権に対し国民は飽きているという認識を亀井さんは持っています。これが大前提です。

そうした国民の空気の中で世界に目を転じてみると国家の危機といっても良いただならぬ情勢に包囲されてます。

トランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領、いずれ劣らぬ猛者たちが日本を取り囲んでます。

亀井さんの国家戦略は南北朝鮮と手を握りその上で中国とも仲良くしアジアをトランプ大統領から守ることです。

こうした世界史的な視点を持ち日本の針路を決定していくことを亀井さんは求めているのです。

国の進路を論じる大きな大論争を期待していました。亀井さんが期待したほど深まりませんでした。

災害や外交日程もあって徹底した論戦を国民の前に展開する総裁選挙ではありませんでした。

自民党の危機意識の不足を嘆いていることでしょう。しゃんとしないと荒波に飲み込まれると思っているはずです。

亀井さんは、アメリカに従順なだけの飼い犬「ポチ」ではならぬという強い自負心を持ってます。

高額な武器をアメリカから購入したり日本列島をアメリカ軍の基地の島にしている現状に異を唱えています。

アメリカに対しても言うべきことをきちんと物申す日本でなければならないということです。

憲法に自衛隊を明記するしないといった次元を超えた課題です。こうした本質的問題に立ち向かうことが時代に要請です。