私の町長時代のもっとも胸を張れるソフト事業は「足柄の歴史再発見クラブ」の立ち上げです。

文化財保護といった分野には専門家の存在は不可欠ですが一方で自由に参加できる歴史団体があっても良いと思いました。

素人であっても歴史が好きで調査しながら専門知識を身に着けていくスタイルの集団を目指しました。

民間企業のOBが中心となり高校の歴史の先生や古文書の調査をしていた方が加わりクラブが誕生しました。

2006年2月のことです。翌年が富士山の噴火から300年の節目になることからこの大災害の歴史を追いました。

翌年の3月『富士山と酒匂川』が刊行されました。絵や写真をふんだんに取り入れて編集しました。

クラブの皆さんの奮闘の結果です。町としても応援しましたが小田原の印刷会社の全面的支援があったことが大きいです。

幸いにして好評を博し小学校など学校での出前授業や地域の防災教室の教材となりました。

こうした活動は現在でも続いていて足柄の歴史再発見クラブの取り組みの柱となってます。

さて、刊行から10年が経過しこの間に大きな出来事がありました。日本全国でも私たちの地域においてもです。

大災害の頻発です。3・11、熊本地震、つい最近の北海道の地震。それと毎年のように襲ってくる集中豪雨です。

観測史上初めてということが耳にタコができるぐらいニュースから聞こえてきます。

わが地域も2010年9月8日に時間雨量100ミリを超える記録的な集中豪雨に見舞われました。

山北町の丹沢湖周辺では日量で496ミリ、お隣の静岡県小山町須走では593ミリという豪雨となりました。

土砂崩れが至る所で発生しました。スコリアという黒い砂が大量に流出し河川に流れ込みました。

鮎沢川、酒匂川とながれ小田原市で相模湾に注ぎます。黒い砂が混じった土砂が堆積しました。

300年前の富士山の噴火はまだ終了していないことが判明したのです。スコリアの上に樹木が生えて見えなかっただけなのです。

この事実は重いと思いました。『富士山と酒匂川』を全面的に改めて新編を作成すべきだと思い至りました。

私たちは2010年の災害で初めて川の流れは上流から河口まで続いていることを思い知らされたのです。

各自治体ばらばらで対応していたのでは故郷の安全が守れないのではないかと考えました。

2010年の災害から富士山と酒匂川を捉え直し何が必要かを子供たちや地域の住民に伝えて行こうと思います。

繰り返しになりますが300年前の富士山の噴火は終わってません。スコリアはいつ牙をむくかわからないからです。

静岡県小山町では懸命に治山事業を行い土砂の流出を抑えています。しかし集中豪雨が襲えば別の場所で流出します。

子供にも十分理解できるようにやさしい言葉で語りかけて行きたいです。最新の画像も取り入れて。

編集作業は来月から本格化します。年内には原本ができるようクラブ一同頑張ります。

「新編」と名付けたからにはその名に相応しい『富士山と酒匂川』を刊行します。ご期待ください。