反骨の中央官僚、稲村公望さんの出版パーティー。

28日の日曜日、東京都内で郵政民営化に最後まで抵抗した元郵政省の官僚、稲村公望さんの出版記念パーティーがありました。

稲村さんとNHK時代の上司が親しく、その関係で面識がありました。かつての上司と一緒にパーティーに出かけました。

稲村さんは奄美の徳之島の出身です。東大の法学部を出て郵政官僚となり国家の中枢を担ったわけです。

徳之島といえば、徳洲会病院グループを興した徳田虎雄さんが有名ですが、稲村さんも郷土の英雄です。

2人の共通点は反骨でしょうか。徳之島のDNAなのでしょうか。権力に屈せず主義主張を通すところは似ています。

パーティーの最初にみんなで歌を合唱しました。文部省唱歌の「故郷」でした。三番の歌詞は稲村さんにはまります。

「志を遂げていつに日にか帰らん。」という歌詞です。出世をして故郷に凱旋する夢を抱き上京したはずです。

そしてその夢を果たしました。しかし最後は厳しい試練にさらされた日々だったのは間違いありません。

中央省庁改革で郵政省から総務省となり政策統括官にまで昇り詰めました。事務次官の座も見えて来た時に嵐が吹きました。

郵政民営化です。小泉構造改革です。恒住総理のブレーンの竹中平蔵氏が大ナタを振るいました。

政権の方針に徹底抗戦したのが稲村さんでした。並大抵の根性ではありません。敬服を超えています。

結果としては役所を追われ、地位に相応しい天下り先を用意されるのでもなく独自に人生を切り拓かれました。

稲村さんと懇親の機会を得たのは2013年の秋だと記憶してます。先に述べたNHK時代の先輩と一緒に食事しました。

場所は川崎市の新百合ヶ丘の料理店でした。当時私は選挙に落選し浪人中の身で慰労を兼ねての懇親会でした。

稲村さんから一緒に講演に行こうと誘われました。岡山の郵便局の皆さんたちに話す場に一緒に行こうというのです。

大変にありがたい話でしたが当時の私はルンペンみたいで新幹線代金や宿泊代が用意できません。

稲村さんが足代と宿代は俺が面倒みるからということでした。お言葉に甘えて一緒に12月初めに出かけました。

小さな町のまちづくりを進めるに当たり郵便局の存在は無視できないことを実体験に基づいて話しました。

前の晩には懇親会もあり二次会もありました。稲村さんが二次会の経費を出していました。

稲村さんは実業家でもなんでもなく懐具合が特別に良いという訳ではないはずです。でも金払いが違いました。

パーティーの席上で稲村さんの奥様と初めて話をしました。稲村さんの剛毅さでかなり大変な思いをされたようです。

私は、瞬時に稲村さんに面倒見てもらって講演し励ましてもらったことが頭をよぎりました。

不遇のときにかけてもらった温情に対し十分に応えていないと反省しました。修行が足りません。

人に対して面倒見たことは結構覚えていて面倒見てもらったことの記憶はすぐに薄れてしまいます。

本来のあるべき姿は逆でなければなりません。稲村さんのパーティーに参加させてもらい貴重な人生訓を刻みました。