「二宮尊徳の『報徳思想』は、現代市民の『市民道』」。

昨日、二宮金次郎を学びながらまちづくりのお手伝いをする「あしがら平野一円塾」のキウイのもぎ取り作業がありました。

メンバーでキウイづくりの名人、小沢良行さんの神奈川県南足柄市にある農園で収穫作業をしました。16人が参加しました。

今年は例年3万個程度の収穫予定が2万個程度ということでした。受粉のやり方に問題があったと話してました。

小沢さんは、今年農作業中にけがをされたのでそのあたりも影響されているのではと思いました。

手作業で行っていた受粉作業を簡略化した結果なのではないかと想像します。決してそうは言わないのがプロです。

それでも箱に2段重ねして詰め込んだキウイはずしりと重いです。大人でも2箱持つとしっかり持たないとよろけます。

キウイの収穫は簡単な手作業ですが人手がいります。素人の農業体験にはピタリとはまります。

作業でわいわいがやがや終了後トン汁とお弁当を食べながら再びわいわいがやがや。半日があっという間に過ぎます。

二宮尊徳は農民に芋こじといって芋を互いにこすりあわせて汚れを落とすかのように意見を交わすのを奨励してました。

キウイの収穫を手伝いながらの話し合いは「芋こじ」そのものです。雑念なく語り合うことで心の汚れが落ちます。

今年は特別ゲストを迎えました。静岡県掛川市に本部のある大日本報徳社の鷲山泰彦社長が参加されました。

大日本報徳社は今なお日本の方と訓導の中心地です。二宮尊徳の思想と活動を発信する拠点です。

カリスマ的存在としてけん引してきたのが元掛川市長の榛村純一さんです。今年3月急死されました。

その後を受けて社長に就任されたのが鷲山さんです。前東京学芸大学の学長でドイツ文学、哲学の研究者です。

昼食を食べ終わった頃に鷲山さんにミニミニ講座を開設してもらい報徳思想の現代的意義について話してもらいました。

鷲山さんは2つの視点からとらえるべきだと明確に答えられました。とても参考になる話でした。

二宮尊徳は、森羅万象あらゆるものには徳が備わっているという考え方に立ってました。

その徳に対し徳で報いるのが「報徳」です。人間関係も作物に対して接する姿勢もすべてこれが基本です。

人はもちろんのこと収穫する作物であっても特に報いる姿勢をとれば争いは起こるはずはなく平和になります。

また二宮尊徳は、人として生きる道を4つの目標に置き換えました。「至誠、勤労、分度、推譲」です。

真心こめて一生懸命働き、節度を持って暮らし、余剰が出たら社会に還元するということです。

鷲山さんはこの4つの目標は現代市民が生きるべき道を指し示す「市民道」だと言われてました。

現代社会において市民はいったい何を指針として生きるべきかさまよっていると言われていました。

そうした混迷の中で一つの生き方を示しているのが二宮尊徳の「至誠、勤労、分度、推譲」だというのです。

古めかしいように見えてその内容は現代社会に十二分に通用するということです。わが意を得たりと膝を叩きました。