超巨大イベントの成否は、開催哲学で決まる。

何か巨大な催しを仕掛けるには何のために行うのかという目的、理念が明確であることが最も大切だと思います。

このところ日本は超巨大なイベントが目白押しです。来年秋はラグビーのワールドカップが全国各地で開かれます。

翌2020年は東京オリンピックパラリンピックです。そして2025年に大阪万博の開催が決定しました。

前のふたつはスポーツイベントですので開催すること自体でメッセージ性を持ちます。万博はちょっと違います。

ただ、スポーツイベントといっても社会的にアピールする内容を盛り込む時代となってきています。

東京オリンピックパラリンピックの誘致の際に「おもてなし」という日本語を積極的に発信したのが好例です。

人口減少が進み外国からの観光客の誘致に国を挙げて取り組まなければならない日本の深刻な実情が背景に横たわってます。

催しの成功のためには「おもてなし」だけでなくもう一段別のメッセージを盛り込めるかが成否を握ってると思います。

1995年の阪神・淡路大震災にボランティアが駆け付け「ボランティア元年」と呼ばれたようなきっかけとなれるかです。

大会委員会では「多様性と調和」をビジョンとして掲げています。「多様性と調和元年」では心に響きません。

パラリンピックへ都民を挙げてどう向き合うかが決め手だと思います。少なくとも東京都民として宣言が欲しいです。

さて大阪万博です。前回の1970年の時は私は中学3年生の修学旅行で万博を見学することができました。

大人気のパビリオンは長い行列できて並ぶのが我慢できずすぐに入れるところを駆け回った思い出があります。

高度成長時代のただなかにあって開催することだけで未来への弾みとなれそうな特別な時代の催しでした。

夢よもう一度は通用しません。時代が真逆です。人口減少・少子高齢化。関西圏の経済的地盤沈下もあります。

「いのち輝く未来社会のデザイン」を発信するとのことですがスローガンだけではありきたりで何のことかわかりません。

AI=人工知能などの最先端技術を活用し医療や福祉など社会の問題解決につなげる展示の場にしたいということです。

コンピューターを駆使して夢のような仮想現実を現出して喜ぶ場とするのだけは絶対に避けて欲しいです。

テレビのインタビューに大阪の中小企業の経営者が登場し大阪には世界に誇れる技術がたくさんあると答えていました。

油のにおいが残る町工場が提示する世界の難問解決パビリオンができればかなり面白い企画となり後につながると思います。

大阪の古い商店街を会場内に再現しスマホ決済オンリーで移動はおしゃれなレンタサイクルとかミスマッチも期待します。

最先端の植物工場の隣に完全自然農法の農場を作って味比べをしてみるというのもミスマッチの一種です。

新しいものだけが未来を創るのではなく古いものとの融合で初めて地に足がついた未来を想像できます。

「いのち輝く未来社会」というスローガンを掲げるからには一歩に偏ることなくバランスをとることが大切だと思います。