外国人労働者問題、熟議を阻むものは何かを考える。

国会で外国人労働者の受け入れを拡大する入国難民法などの改正案が審議中です。議論を尽くしている印象はありません。

外国人労働者の受け入れに対し日本政府は慎重でした。ここで大きく大転換を図る法律なのに不思議です。

技能実習生の拡大により実態として外国人労働者的存在が定着しつつある現状を法律が後追いする格好になっています。

これが日本の制度構築に伴う議論が深まらない根本原因だと思います。事態が蔓延するまでは動かないのです。

最初から立ち止まってあらゆる角度から議論を尽くし冷静に詳細に分析しながら政策決定するのが本当に苦手です。

少子高齢化・人口減少により働く世代の人口の急減を補うための方策として外国人労働者問題は避けて通れません。

真正面から受け止めて議論する姿勢を政府が取っていたら今日のような現状とはならなかったでしょう。

法案を国会に提出した後の政府と与党の姿勢にも大きな問題があります。成立ありきで聞く耳を持っているとは思えません。

新聞報道によれば衆議院の委員会での審議時間は15時間45分で重要法案としては際立って少ないということです。

日本維新の会との修正がカギでした。修正の時期を当初の3年後から2年度と短縮させました。

政府としてはとにかく人手不足の現状にこたえる形で導入を急ぎ東京オリンピックパラリンピックの翌年に見直すシナリオです。

見直し時期を3年としていたのは当初からこの時期で修正をして日本維新の会を抱き込もうとしていた可能性もあります。

こうした手練手管を断行する主は与党の国会対策委員会ではなく官邸ではないかと私はにらんでます。

法務省がやれる芸当ではありません。日本維新の会との関係からして菅官房長官以外に考えられません。

なぜ急ぐのか、力を誇示しなければならないのかは読み切れません。沖縄で敗れた威信の失地回復なのかとも思います。

一方、野党の対応も小児病です。第一党の立憲民主党は例によって声高に反対を問うだけであってそれ以上ではありません。

立憲民主党にもっと広い視野を持った戦略家がいたら法案に賛成の姿勢をまず明示し与党との協議の場を作る戦術に出たはずです。

日本に追って外交人労働者は不可欠であるとの認識を持てはつっけんどんにやり取りしても得るものはありません。

賛成すべきものは賛成する基本姿勢のもとで慎重に議論して中身を詰め内容を充実させていくのが本来です。

参議院に審議の舞台の場が移り国民民主党が修正案を独自に提出しました。対立ではなく論議をという狙いだと思います。

参議院の国民民主党は政策通の大塚耕平前代表がいますので政策で勝負しようと思案した結果の修正案提出だと思います。

しかし、立憲民主党の枝野代表は国民民主党の動きを一蹴していました。全くもって小児病は重いと残念でなりません。

与党が呼び掛けたのではなく野党の仲間の提案です。提案に乗って議論の時間を確保することで熟議へと導くべきです。

熟議を阻むものは日本社会に潜む構造問題、政府の対応、野党の未熟さ。3つの側面があり難問です。